決算分析

株式会社オートバックスセブン
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/09/25

増収増益、ネットキャッシュのマイナス幅は3倍超に | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目値
前提2026-09-24 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価1,601円
発行済株式総数82,050,105株
時価総額1,313.6億円

稼ぐ力は伸びた、現金は店と買収へ ―― オートバックスセブン2026年3月期を読む

提出日:2026-06-22 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
営業利益121.3億円138.0億円+13.8%
現金及び預金312.9億円202.9億円△35.2%
ネットキャッシュ△65.3億円△210.2億円マイナス幅拡大

ようか | 笑顔

営業利益、1割以上増えてる!

オートバックス絶好調じゃん!!


やよい | あきれ顔

喜ぶのは、下の2行を見てからじゃ。


ようか | 驚き

えっ、現金が3割以上減ってる!?

ネットキャッシュも、マイナスがすごく大きくなってる!

もうかったのに、お金はどこ行っちゃったの?


やよい | 自信あり

そこが今期の読みどころじゃ。

現金の行き先を、順番に追っていくぞ。


目次

  • 会社概要: カー用品店のFC本部
  • 収益構造: 出店と買収で規模を広げる姿勢
  • 前期からの変化: 増収増益でも現金は減った!?
  • 当期の注目ポイント: 黒字転換と投資の倍増
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 稼ぐ力とキャッシュ
  • 指標まとめ: 投資の回収に注目
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: カー用品店のFC本部

ようか | 笑顔

オートバックスセブンかぁ。

車のグッズを売ってるお店の会社だっけー?

やよい姉! 解説よろしく!!

やよい | 自信あり

うむ、ほぼ正解じゃ。

全国のオートバックスのお店にカー用品を卸して、自分のお店でも売って稼いでおる会社じゃ。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品タイヤ・ホイール、カー用品(アクセサリー、オイル・バッテリー、カーナビなど)、車検・整備
その他商品車の販売(中古車、Honda・Audi・BYDの正規ディーラー)、ホームセンターなどへの卸売、クレジット・リース・不動産賃貸
収益形態フランチャイズ(FC)加盟店への卸売と、直営・子会社のお店での小売が中心。物が売れるたびに入る収益が大半
開示区分2025/3期から4区分。当期の売上(事業間の取引を含む)はオートバックス事業2,063.6億円、コンシューマ事業528.4億円、ホールセール事業335.1億円、拡張事業107.2億円
店舗数国内1,059店。うち729店は、連結の対象外のFC加盟法人などが運営
グループ子会社50社・関連会社13社
最近の動き中古車販売のオトロンカーズ、Hondaディーラーの東葛ホールディングス、タイヤ専門店のビーラインなどを買収し、コンシューマ事業として広げている

ようか | 泣きつく

FC……加盟店……全然わからん!

やよい | 説明

FCはフランチャイズの略じゃ。

看板や商品、売り方を本部が用意して、お店の運営は別の会社に任せる仕組みじゃな。

この会社は本部として、加盟店にタイヤや用品を卸しておる。

ようか | 驚き

えっ、あのお店って全部この会社のじゃないの!?

看板だけ借りてるお店のほうが多いってこと!?

やよい | あきれ顔

看板を借りておるというより、同じ看板で一緒に商売しておる仲間じゃな。

加盟店がたくさん売ってくれるほど、本部の卸売も増える形じゃ。

業種の分類が小売ではなく卸売業なのも、この形だからじゃろう。

ゆり | 無表情

カー用品の卸売と小売を土台に、買った会社で車を売る側にも広げている、ということですね。

2. 収益構造: 出店と買収で規模を広げる姿勢

ゆり | 無表情

会社はどんな稼ぎ方を目指しているのでしょう?

やよい | 説明

うむ、よい問いじゃ。

お店を増やしたり車を売る会社を買ったりして、

カー用品から車の売り買いや整備まで手を広げる姿勢じゃな。

ゆり | 無表情

有報に書かれている目標と投資の計画を並べたのです。

項目中身(有報の記載)
目指す姿カー用品のワンストップサービスから、車に関する困りごとをまとめて解決する「モビリティライフのインフラ」へ
長期の目標2032年度に連結売上高5,000億円
2027/3期の目標売上高3,000億円、営業利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益90億円、ROE7.0%
投資の計画2025/3期から3年間で累計350億円規模。2032年度までに累計約1,000億円
財務の課題成長投資を計画以上の速さで進め、投下資本が先行している。今後は投資の回収と資本効率の改善を図る

ようか | 泣きつく

ROE……投下資本……全然わからん!

やよい | 説明

ROEは、株主から預かったお金で、1年にどれだけ利益を出したかの割合じゃ。

投下資本は、商売のために注ぎ込んだお金のことじゃな。

ようか | キョトン

「投下資本が先行」ってことは?

やよい | 説明

お金を先に使ったぶん、利益がまだ追いついておらんと、会社自身が書いておるのじゃ。

ゆり | 微笑み

お店と買収にお金を先に使って売上を大きくし、あとから回収していく形、ということですか?

やよい | 自信あり

うむ、そうじゃな。

使ったお金に見合うだけ、利益が増えていくか。そこは見ておきたいのう。

3. 前期からの変化: 増収増益でも現金は減った!?

売上・利益はどう動いた?

ようか | 笑顔

冒頭で営業利益が増えたってあったけど、売上はどうだったの?

タイヤ売れまくって、ウハウハ!?

やよい | 微笑み

まずは表で見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
売上高↑2,495.3億円2,800.6億円
売上総利益↑883.7億円1,001.4億円
販管費↑762.5億円863.4億円
営業利益↑121.3億円138.0億円
営業利益率↑4.86%4.93%
親会社株主に帰属する当期純利益↑81.3億円83.5億円

ようか | 驚き

全部増えてる!

でも、利益率はほとんど変わってない?

やよい | 説明

売上総利益は、売上から仕入れ値などを引いた残りじゃ。

そこから販管費、つまりお店の人件費や家賃、広告などの費用を引いたのが営業利益じゃな。

売上と一緒に費用も増えたから、利益率はほぼ横ばいなのじゃ。

ゆり | 無表情

営業利益が増えた 16.7億円 を、事業ごとに分けたのです。

区分前期当期前年差
コンシューマ事業の利益(増加)△8.5億円5.2億円+13.7億円
ホールセール事業の利益(増加)5.2億円9.4億円+4.2億円
オートバックス事業の利益(増加)220.5億円224.0億円+3.5億円
拡張事業の利益(増加)4.7億円7.6億円+2.9億円
全社費用(利益の減少要因)△100.7億円△108.3億円△7.6億円
営業利益121.3億円138.0億円+16.7億円

ようか | 驚き

コンシューマ事業って、前の年は赤字だったのに黒字になってる!

一番稼いでるオートバックス事業より、増えた分が大きい!?

やよい | 自信あり

そうじゃ。増益の約8割は、コンシューマ事業の黒字転換によるものじゃ。

ここは、買った会社が多く入っておる区分でな。

ようか | キョトン

買った会社が、急にもうかりだしたの?

やよい | 説明

前期の途中で買った会社が、当期は1年まるごと売上に入ったと会社は説明しておる。

利益が黒字になった細かい内訳までは有報に書かれておらんが、売上の上乗せが大きかったのは確かじゃ。

ゆり | 無表情

ただ、営業利益に比べて、純利益はあまり増えていないのです。

差の原因を並べました。

区分前期当期前年差純利益への影響
負ののれん発生益がなくなった(押し下げ)10.3億円-△10.3億円△10.3億円
法人税等の増加(押し下げ)48.0億円59.9億円+11.9億円△11.9億円
減損損失の増加(押し下げ)4.6億円11.9億円+7.3億円△7.3億円
投資有価証券売却益(押し上げ)-7.1億円+7.1億円+7.1億円
事業譲渡益(押し上げ)-5.3億円+5.3億円+5.3億円

ようか | 泣きつく

負ののれん……減損……もう無理!

やよい | 説明

のれんは、会社を買ったときに、その会社の純資産より多く払った分じゃ。

逆に安く買えたときの差は、負ののれん発生益として一度きりの利益になる。

ようか | キョトン

じゃあ減損は?

やよい | 説明

お店などの資産が思ったほど稼げなくなって、帳簿の値段を下げて損にすることじゃ。

ようか | キョトン

法人税が増えてるのは、もうけが増えたからでしょ?

やよい | 説明

それもあるが、利益の増え方より税金の増え方のほうが大きいのじゃ。

税引前の利益に対する税金の割合、つまり税負担率が 37.1% → 41.7% に上がっておる。

ゆり | 無表情

有報の税金の注記に、法律で決まった税率との差の内訳が書かれているのです。

区分前期当期前年差
評価性引当額(押し上げ)2.6pt7.1pt+4.5pt
負ののれん発生益(押し上げ)△2.4pt-+2.4pt
のれん償却額(押し上げ)0.9pt2.1pt+1.2pt
連結子会社株式取得関連費用(押し下げ)1.7pt-△1.7pt
交際費等(押し下げ)2.3pt1.1pt△1.2pt

ようか | 泣きつく

評価性引当額……? 呪文!?

やよい | 説明

将来の税金を軽くできる見込みが立たない分は、先に税金の計算から外しておくのじゃ。

それが評価性引当額で、増えると見かけの税負担が上がる。

ただ、なぜ増えたのかまでは開示されておらぬ。

手元資金とネットキャッシュは?

ようか | キョトン

冒頭でネットキャッシュがマイナスってあったけど、

利益は増えたのに、現金はどうなってるの!?

やよい | 説明

よいところに目をつけたの。

まずは表で見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
現金及び預金↓312.9億円202.9億円
現金及び預金の対資産率↓13.7%8.5%
有利子負債(借入金・社債+リース債務)↑378.2億円413.1億円
1年以内に返す有利子負債→92.5億円92.4億円
ネットキャッシュ↓△65.3億円△210.2億円
ネットキャッシュ比率(提出日終値ベース)↓△5.5%△17.7%
自己資本比率↓57.8%56.8%

ようか | 驚き

現金は減ってるし、ネットキャッシュはマイナスが大きくなってる!

これ、借金のほうが多いってこと!?

やよい | 説明

言葉から確認しておくぞ。

ネットキャッシュは、現金から利息のつく借金(有利子負債)を引いた残りじゃ。

ネットキャッシュ比率は、それが時価総額の何%に当たるかじゃな。

ゆり | 無表情

自己資本比率は、総資産のうち返さなくてよい株主のお金でまかなっている割合なのです。

ようか | 泣きつく

じゃあ、やっぱり危ないの!?

やよい | 微笑み

あわてるでない。自己資本比率は5割を超えておる。

お店や土地を持つ商売では、借りて投資するのも珍しくないのじゃ。

ただ、借金が現金を上回る差が広がっておるのは確かじゃ。

ゆり | 真剣

1年以内に返す有利子負債は前期並みですが、

現金が減ったので、現金及び預金の半分近くになったのです。

やよい | 説明

会社は、営業CFに加えて短期の借入も使い、季節で変わる運転資金や投資のお金をまかなうと説明しておる。

冬用タイヤのように、時期で売れ行きが変わる商売ならではじゃな。

フリーCFはどうなった?

ようか | キョトン

つぎはフリーCF……自由に使えるお金、だっけ?

やよい | 微笑み

おお、覚えておったか。

本業で入ってきた現金(営業CF)から、投資で出ていった現金(投資CF)を差し引いた残りじゃ。

まずは表じゃな。

項目前期比較前期当期
営業CF↑39.4億円145.9億円
投資CF↓△180.2億円△231.8億円
フリーCF↑△140.8億円△86.0億円

ようか | 驚き

営業CFがめっちゃ増えてるのに、フリーCFはまだマイナス!?

ゆり | 無表情

まず、営業CFの主な前年差を並べたのです。

区分前期当期前年差中身
営業CFの増加要因(主因)△73.8億円9.1億円+82.8億円仕入債務の増減
営業CFの増加要因64.8億円85.5億円+20.7億円減価償却費・減損損失・のれん償却額の合計。現金が出ていかない費用の足し戻し
営業CFの増加要因129.5億円143.7億円+14.2億円税金等調整前当期純利益
営業CFの増加要因△10.3億円-+10.3億円負ののれん発生益の差し引き。前期は現金の入らない利益を引いていた
営業CFの減少要因7.6億円△1.5億円△9.1億円リース投資資産の増減。加盟店向けに貸し出す設備など
営業CFの減少要因-△7.1億円△7.1億円投資有価証券売却益の差し引き。現金の動きは投資CFに入るため、ここでは引く
営業CFの減少要因△34.0億円△36.6億円△2.6億円売上債権の増減

ようか | 泣きつく

仕入債務……売上債権……全然わからん!

やよい | 説明

仕入債務は、仕入れたけどまだ払っていない代金じゃ。

売上債権は、売ったけどまだ受け取っていない代金じゃな。

売上債権と在庫から仕入債務を引いた、商売に寝かせておくお金を運転資本と呼ぶのじゃ。

ようか | キョトン

じゃあ、払うのを待ってもらったから営業CFが増えたの?

やよい | 説明

前期に、まだ払っていない代金がぐっと減った反動が大きいのじゃ。

前期末に支払いが多く出て、当期はその分が戻ったのじゃろう。

戻った理由は開示されておらんから、わらわの見立てじゃがな。

ゆり | 無表情

次に、投資CFの主な前年差なのです。

区分前期当期前年差中身
投資CFの減少要因(主因)△89.3億円△170.1億円△80.8億円有形・無形固定資産の取得。出店、改装、土地、システムなど
投資CFの減少要因△4.5億円△49.6億円△45.1億円関係会社株式の取得
投資CFの減少要因△5.3億円△17.5億円△12.2億円差入保証金の差入。お店を借りるときに預けるお金など
投資CFの増加要因△59.3億円△9.6億円+49.7億円連結子会社にする会社の株式の取得。前期はオトロンカーズなどを買った
投資CFの増加要因△33.7億円△3.5億円+30.2億円貸付けによる支出
投資CFの増加要因-9.0億円+9.0億円投資有価証券の売却及び償還

ようか | 驚き

設備に使ったお金が倍くらいになってる!

関係会社株式っていうのも急に増えてる!?

やよい | 説明

関係会社株式は、子会社や、経営に大きな影響を与えられる会社の株のことじゃ。

当期は日本レースプロモーションと、シンガポールのELECTRIC MOBILITY TECHNOLOGYの株を買った。

ようか | キョトン

買って、どうなるの?

やよい | 説明

持分法という方法で、数字に取り込むようになったのじゃ。

その会社の利益のうち、持っておる株の割合の分だけを自分の利益に足すやり方じゃな。

ゆり | 無表情

設備投資の内訳を、有報の説明から並べたのです。

内訳金額
新規出店26.6億円
既存店の改装・改修22.2億円
土地27.9億円
情報化投資21.6億円
その他(安心ピットカメラ、物流センターなど)71.7億円
合計170.1億円

ようか | 笑顔

お店を建てたり直したり、土地まで買ってる!

やよい | 説明

うむ。この会社は売上を増やそうとすると、お店や買収にお金をかける必要がある形じゃ。

会社は、3年間の設備投資の計画 180億円 に対して、すでに 144% まで進んだと説明しておる。

計画より早く、多めにお金を使っておるわけじゃな。

ゆり | 無表情

現金及び現金同等物が 112.5億円 減った内訳なのです。

預け入れが3か月を超える定期預金などを除いた範囲なので、現金及び預金の減少とは少しずれます。

項目金額
営業CF+145.9億円
設備投資(有形・無形固定資産の取得)△170.1億円
関係会社株式・子会社株式の取得△59.2億円
差入保証金などその他の投資(純額)△2.5億円
借入の純増(長期借入70.0億円、返済△38.1億円、短期△3.5億円)+28.5億円
配当金の支払い△47.1億円
その他(財務CFのその他、為替換算差額)△7.9億円
現金及び現金同等物の増減△112.5億円

ようか | 驚き

借りたお金より、使ったお金のほうがずっと多い!

やよい | 自信あり

そうじゃ。前期は長期の借入で 224.7億円 を集めたが、当期は 70.0億円 にとどめた。

足りない分は、手元の現金を取り崩したのじゃ。

ゆり | 微笑み

本業の現金は戻ったけれど、設備と株の購入にそれ以上を使い、借入も控えめにしたので現金が減った、ということですね。

配当はどうなった?

ようか | 笑顔

現金が減ったってことは、配当も減っちゃった?

ゆり | 無表情

株主へのお金の戻し方を並べたのです。

項目前期比較前期当期
1株当たり配当→60円60円
配当総額(決議ベース)→47.1億円47.1億円
配当性向(連結、計算値)↓57.9%56.4%
自己株式の取得額→0円0円

ようか | 自信あり

だいたい同じ!

減ってないならセーフ!?

ゆり | 無表情

有報には、2025/3期からの3年間は成長投資を優先し、原則1株あたり年60円の安定配当を行うとあります。

2024/3期までは、「5ヵ年累計の総還元性向100%」が基本方針だったのです。

ようか | 泣きつく

配当性向……総還元性向……もう無理!

やよい | 説明

配当性向は、利益のうち何%を配当に回したかじゃ。

総還元性向は、配当に自己株式の取得、つまり会社が自分の株を買い戻す分も足した割合じゃな。

ようか | キョトン

じゃあ、方針が変わったってことは?

やよい | 自信あり

前は、5年分の利益と同じくらいを株主に返す方針だった。

それを、配当の額を決めて、残りを投資に回す形に変えたのじゃ。

ゆり | 微笑み

稼ぐ力は増えたけれど、還元の方針を投資優先に切り替えて、現金を出店や買収に回している、ということですね。

4. 当期の注目ポイント: 黒字転換と投資の倍増

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました


▶ 売上高は前期比 +12.2%、営業利益は +13.8% の増収増益なのです。営業利益率は 4.86% → 4.93% とほぼ横ばいなのです。

▶ 増益の約8割は、コンシューマ事業の黒字転換(+13.7億円)によるものなのです。

▶ 純利益は +2.7% にとどまったのです。前期の負ののれん発生益 10.3億円 がなくなり、税負担率が 41.7% に上がったのです。

▶ 現金及び預金は △35.2% なのです。設備投資 170.1億円 と関係会社株式の取得 49.6億円 に対し、長期借入は 70.0億円 にとどめたのです。

▶ フリーCFは △140.8億円 → △86.0億円 とマイナス幅が縮んだのです。営業CFは仕入債務の戻りで増えましたが、投資CFの拡大で2期連続のマイナスなのです。

▶ 配当は原則年 60円 の安定配当に切り替わっているのです。当期の配当性向は 56.4% なのです。


5. 5年推移の財務諸表まとめ: 稼ぐ力とキャッシュ

ようか | 笑顔

前期との違いは分かった!

じゃあ、もっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力から見ていこう。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高2,2862,3622,2992,4952,801
当期純利益7072648184
営業利益11611780121138
営業利益率5.1%5.0%3.5%4.9%4.9%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 自信あり

売上は途中で1回へこんで、そこから2年続けてぐんぐん増えてる!

利益も、同じ年にガクッとへこんでる!

やよい | 説明

よう見ておる。

へこんだのは2024/3期じゃな。

ゆり | 無表情

営業利益が大きく動いた年の理由を、有報の説明から並べたのです。

年度営業利益の前年差主な理由(会社の説明)
2024/3期△37.1億円国内オートバックス事業の利益が△29.7億円。FCの仕組みの変更に伴う加盟店在庫の価格調整、暖冬による冬用商品の卸売の減少、新しい店舗システムの減価償却費の増加
2025/3期+41.2億円オートバックス事業の利益が220.5億円(+33.1%)に回復。既存店の売上が+4.4%で、メンテナンス商品と雪による冬用商品が好調
2026/3期+16.7億円コンシューマ事業の黒字転換(+13.7億円)が中心

ようか | キョトン

減価償却費って、なんか聞いたことあるような……?

やよい | 説明

大きな設備やシステムを買ったとき、その代金を使う年数に分けて毎年の費用にしたものじゃ。

新しいシステムを動かし始めて、その費用が毎年乗ってくるようになったのじゃな。

ゆり | 無表情

2024/3期は、BMWとMINIの正規ディーラーの子会社を売った事業譲渡益 39.7億円 が、特別利益に入っているのです。

ようか | 驚き

えっ、じゃあ純利益があんまりへこんでないのって、そのせい!?

やよい | 自信あり

うむ。特別利益は、本業とは別にその年だけ出た一度きりの特別な利益じゃ。

これで純利益の減り方が小さくなったから、その年の純利益は割り引いて見るのがよい。

ようか | キョトン

じゃあ、2024/3期に売上がへこんだのも、ディーラーを売ったせい?

ゆり | 無表情

2024/3期に売上が減った理由を、有報の説明から並べたのです。

区分外部売上の前年差主な理由(会社の説明)
ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業△46.8億円2023年9月にBMW/MINIの正規ディーラー子会社2社を譲渡
国内オートバックス事業△29.8億円暖冬による冬用商品の卸売の減少と、FC加盟店在庫の価格調整

やよい | 説明

売上のへこみも、ディーラーを手放した分が一番大きかったのじゃな。

それと、売上は5年で2割ほど増えたが、営業利益率は5年前の水準を超えておらん。

ようか | キョトン

規模は大きくなったけど、もうけの割合はそのままってこと?

やよい | 自信あり

うむ。次は、キャッシュの流れを追っていくぞ。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金248246313313203
現金及び預金の対資産率13.1%12.6%16.1%13.7%8.5%
ネットキャッシュ140124220△65△210
ネットキャッシュ比率12.2%9.9%17.2%△5.5%△17.7%
フリーCF△2030140△141△86

ようか | 驚き

ネットキャッシュが途中からマイナスになってる!?

フリーCFも2年続けてマイナス!

ゆり | 無表情

営業CFと投資CF、有利子負債とのれんも並べたのです。

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業CF5710714439146
投資CF△77△77△4△180△232
有利子負債10812293378413
のれん2214118782

ようか | キョトン

2025/3期から、投資も借金もドーンと増えてる……。

やよい | 説明

2025/3期は、中古車やディーラー、タイヤ専門店の会社を次々に買った年じゃ。

その年は長期の借入で 224.7億円 を集めたから、有利子負債が一気に増えた。

先ほど触れた、純資産より多く払った分が、のれんとして残っておるのじゃ。

ゆり | 無表情

2024/3期のフリーCFが大きいのは、ディーラー子会社の売却収入 51.0億円 と、

貸付金の回収 38.9億円 が投資CFに入ったからですか?

やよい | 自信あり

うむ、その通りじゃ。

一度きりの収入が大きいから、ふだんの力とは分けて見るのがよい。

ようか | 驚き

あと、2025/3期は営業CFもガクッと減ってるよ!?

ゆり | 無表情

2025/3期の営業CFの主な前年差なのです。

区分2024/3期2025/3期前年差中身
営業CFの減少要因(主因)40.9億円△73.8億円△114.7億円仕入債務の増減
営業CFの減少要因57.4億円△34.0億円△91.5億円売上債権の増減
営業CFの増加要因△39.7億円-+39.7億円事業譲渡益の差し引き。前年は現金の入らない利益を引いていた
営業CFの増加要因102.8億円129.5億円+26.7億円税金等調整前当期純利益
営業CFの増加要因△50.0億円△40.8億円+9.2億円法人税等の支払額

やよい | 説明

利益は増えておったのに、仕入債務と売上債権の動きで大きく減ったのじゃ。

2024/3期末は、まだ払っていない代金が5期で最も多く、まだ受け取っていない代金は5期で最も少なかった。

わらわの見立てじゃが、その年に有利に動いた分が、翌年に戻ったのじゃろう。

ゆり | 真剣

会社は、期末の残高が動いた理由を個別には説明していないのです。

有報には、代金の回収が支払いより先に来やすい事業の形だと書かれています。

ようか | キョトン

払うのと受け取るのタイミングだけで、そんなに変わるんだ……。

ゆり | 無表情

ここ2年は、稼いだ現金より多くを出店や買収に使い、

足りない分を借入と手元の現金で埋めてきた、ということですか?

やよい | 自信あり

うむ、今は投資にお金を先に使っておる時期じゃ。

自己資本比率はまだ5割を超えておるから、すぐに困る水準ではない。

この投資が利益として返ってくるかが、確認どころじゃな。

ゆり | 微笑み

さらに詳しく知りたい人向けに、財務諸表をまとめたのです。必要な方は下を開いてください。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金248246313313203
流動資産1,0791,1131,1221,2701,218
有形固定資産453468483568673
総資産1,8991,9431,9492,2822,399
流動負債468489490584620
固定負債202185168378412
純資産1,2291,2701,2921,3201,366
自己資本比率64.5%65.2%66.1%57.8%56.8%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高2,2862,3622,2992,4952,801
売上原価1,5141,5681,5441,6121,799
売上総利益7727957548841,001
営業利益11611780121138
親会社帰属純利益7072648184

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業CF5710714439146
投資CF△77△77△4△180△232
財務CF△123△35△74140△27
フリーCF△2030140△141△86
現金増減△142△268△1△113

(連結・日本基準、単位は億円。自己資本比率は会社開示の値です。現金増減は現金及び現金同等物の増減額です)

6. 指標まとめ: 投資の回収に注目

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

任された!

売上も営業利益も5年で一番で、買った会社のコンシューマ事業も黒字になった!

でも現金はお店と買収に回って、ネットキャッシュのマイナスが広がった!

先に使ったお金が、会社の目標どおり利益になって返ってくるか注目だな!

ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPERやEBITDAやROICあたりを、財務健全性は流動比率やEBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率やネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER15.73倍時価総額 1,313.6億円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益 83.5億円
現金比率32.7%現金及び預金 202.9億円 ÷ 流動負債 620.5億円。前期は53.6%
流動比率196.4%流動資産 1,218.5億円 ÷ 流動負債 620.5億円
ネットキャッシュ△210.2億円現金及び預金 202.9億円 − 有利子負債 413.1億円(借入金・社債+リース負債)
ネットキャッシュ比率△16.0%ネットキャッシュ ÷ 時価総額(参考株価ベース)
EBITDA201.8億円営業利益 138.0億円 + 減価償却費 63.9億円
EBITDA/自己資本14.8%EBITDA ÷ 自己資本 1,362.5億円
EBITDA/利息48.5倍EBITDA ÷ 支払利息 4.2億円。前期は105.8倍
ROIC5.53%営業利益 × 0.7 ÷(自己資本 + 借入金)。前期は5.10%

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 国内市場環境: 日本経済の悪化や個人消費の低迷、競争の変化が業績に響く可能性。影響度は「非常に大きい」。
  • 技術革新: 運転支援や自動運転、電気自動車の普及で、交換部品の需要が変わる可能性。BYDの正規ディーラー出店などで対応。
  • 気候変動: スタッドレスタイヤやチェーンなど、天候で売れ行きが大きく変わる季節商品がある。冷夏や暖冬で売上が減る可能性。
  • 商品の開発および調達: 通商政策や地政学リスクで調達が難しくなる可能性。PB商品の事故によるブランドの傷つきも挙げている。
  • 人材確保・育成: 整備士など専門性のある人材の確保が欠かせない。買収で事業が広がり、必要な人材も多様になっている。
  • 情報セキュリティ: ランサムウェアなどサイバー攻撃が高度化し、完全に防ぐのは難しいと記載。
  • M&A及び事業ポートフォリオ変革: 当期に新しく立てた項目で、影響度は「非常に大きい」。買った会社の統合や、期待した収益が出ない可能性。
  • 固定資産減損: 最近の積極的なM&Aで、のれんの増加が目立つと明記。買った事業やお店の収益が落ちると減損損失が出る可能性。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数82,050,105株5期とも同じ。株式分割・併合はなし
自己株式数3,521,597株自己保有割合 4.29%
1株当たり年間配当60円中間30円+期末30円。期末配当は有報提出時点では2026年6月23日の定時株主総会の決議予定
配当の推移60→60→70→60→60円2022/3期から2026/3期。2024/3期の70円は50周年の記念配当10円を含む
配当利回り3.75%参考株価 1,601円ベース
連結配当性向(計算値)56.4%配当総額 47.1億円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益 83.5億円
総還元性向(計算値)56.4%自己株式の取得が0円のため配当性向と同じ。2022/3期は自己株式の取得30.0億円があり109.5%
配当方針年60円2025/3期〜2027/3期は成長投資を優先し、原則1株当たり年間60円の安定配当
方針の移り変わり—2024/3期まで 5ヵ年累計の総還元性向100%(実績93.9%、事業譲渡益を除くと102.9%)→ 2025/3期から 年60円の安定配当
自己株式の取得0円2023/3期以降は取得なし。当期は譲渡制限付株式報酬などで一部を処分
ストック型収益との関係—継続的に入る収益に近い拡張事業(リース・クレジット・不動産賃貸)の外部売上は47.1億円で、連結売上の1.7%。参考として配当総額は、物を売る3事業の外部売上の約1.71%
大株主日本マスタートラスト信託銀行(信託口)11.12%2位はスミノホールディングス 5.40%、3位は在宅医療助成勇美記念財団 5.08%

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は、本記事を作成した時点の値(1,601円、2026-09-24終値)を使用しています。 時価総額・PER・配当利回り・指標まとめのネットキャッシュ比率は、この株価を前提とした参考値です。 時価総額の計算では、自己株式を控除していません。

5年推移表とグラフ、前期比較の表のネットキャッシュ比率は、各期の時価総額に基づく参考値です。 各期の時価総額は、有価証券報告書の提出日終値と、当時の発行済株式総数から算出しています。

  • 2022/3期: 1,400円 × 82,050,105株 = 1,148.7億円
  • 2023/3期: 1,528.5円 × 82,050,105株 = 1,254.1億円
  • 2024/3期: 1,555円 × 82,050,105株 = 1,275.9億円
  • 2025/3期: 1,450円 × 82,050,105株 = 1,189.7億円
  • 2026/3期: 1,450円 × 82,050,105株 = 1,189.7億円

指標まとめのネットキャッシュ比率(△16.0%)は参考株価で算出しています。 算出基準が異なるため、5年推移表の当期の値(△17.7%)とは一致しません。

財務数値は連結・日本基準です。5年推移表とグラフの単位は億円です。 ネットキャッシュは、現金及び預金から有利子負債(借入金・社債とリース債務)を引いた値です。 有価証券は抽出した財務データに該当科目の行が無いため、0円として扱っています。 2026/3期はリース債務の科目名が「リース負債」に変わりましたが、同じく有利子負債に含めています。

セグメント区分は2025/3期に変更されています。2024/3期以前の事業別の数値とは単純に比較できません。 2024/3期の減益理由は、変更前の区分(国内オートバックス事業)での会社の説明です。 現金の減少の内訳表は端数処理の関係で、項目の合計が増減額と0.1億円ずれます。

次の整理は、財務諸表の明細や有価証券報告書の記述から推し量った推定を含みます。

  • 当期の仕入債務の増加を、前期に大きく減った反動とみる整理
  • 2025/3期の営業CFの減少を、2024/3期末に有利に動いた運転資本が戻ったものとみる整理
  • FC本部としての卸売が中心であることを、卸売業に分類される理由とみる整理
  • 拡張事業を継続的に入る収益に近いとし、残りを物を売るたびに入る収益とみる整理

評価性引当額が増えた理由と、関係会社株式の会社別の取得額は開示されていません。 配当性向・総還元性向は計算値です。配当総額は決議ベースの値を使っています。 自己株式の取得額は、キャッシュ・フロー計算書の支出額を使っています。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります。

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第79期、2026年6月22日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。