決算分析

株式会社ジャックス
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/09/25

増収でも利息で減益、三菱UFJ銀行が筆頭株主に | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目値
前提2026-09-24 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価3,705円
発行済株式総数45,059,992株
時価総額1,669.5億円

売れているのに、利息に削られる ―― ジャックス2026年3月期を読む

提出日:2026-06-22 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
営業収益(売上高に相当)1,909.8億円1,923.2億円+0.7%
金融費用250.4億円315.5億円+26.0%
営業利益257.3億円204.1億円-20.7%

ようか | 笑顔

売上はちゃんと増えてる!

でも営業利益は2割も減ってる!?


やよい | 説明

真ん中の行を見てみるのじゃ。


ようか | キョトン

金融費用……?

なんか、4分の1くらい増えてるけど。


やよい | 自信あり

うむ。

この会社にとっては、ここが本業の費用なのじゃ。


ようか | 驚き

利息が本業!?

どういうこと!?


やよい | 微笑み

それに、この1年で大きな株主も入ってきておる。

順番に見ていくぞ。


目次

  • 会社概要: 立て替えと保証で稼ぐ信販会社
  • 収益構造: 量より質へ切り替える姿勢
  • 前期からの変化: 増収なのに利息で減益!?
  • 当期の注目ポイント: 利息の負担と資産の圧縮
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 増収でも減益
  • 指標まとめ: 金融業ならではの見方
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 立て替えと保証で稼ぐ信販会社

ようか | 笑顔

ジャックスかぁ。

ジャックスカードっていうクレジットカードの会社だっけー?

やよい姉! 解説よろしく!!

やよい | 自信あり

うむ、カードもやっておるが、それは一部じゃ。

ひとことで言えば、買い物の代金を先にお店へ立て替えて払う会社じゃ。

あとでお客さんから分割で回収して、手数料をもらうのじゃ。

ようか | キョトン

立て替え?

代わりに払ってあげるってこと?

やよい | 説明

そうじゃ。

リフォームや車みたいな高い買い物を分割払いにするとき、

裏でお金を出しておるのがこういう会社じゃ。

銀行のローンを保証して、保証料をもらう仕事もしておる。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品国内のクレジット(住宅リフォーム・太陽光などの分割払い、オートローン)、ペイメント(クレジットカード、家賃保証、集金代行)、ファイナンス(銀行の個人ローンや投資用マンション向けローンの保証)
その他商品国内のオートリース、事業資金の融資、保険代理店、債権回収。海外はベトナム・インドネシア・カンボジア・フィリピンでの二輪・四輪ローンなど
収益形態分割払いの手数料、カードの加盟店手数料、保証料、ローンの利息
開示区分国内・海外の2区分。当期の営業収益は国内1,704.2億円、海外219.0億円
区分別の利益(当期)国内228.9億円、海外は24.7億円の損失
取扱高(当期)5兆8,285.6億円。カード払いや分割払いなどで扱った金額の合計

ようか | 驚き

カードだけじゃなくて、家賃とかローンの保証までやってるんだ!

ゆり | 真剣

この1年で新しい動きもあったのです。

2025年5月に、マレーシアの自動車ローン会社 Carsome Capital の株を 49% 取得しました。

有報には、新たにシンガポールへ進出するとも書かれています。

ようか | 驚き

ちょっと待って。

海外って損失なのに、まだ新しい国に行くの!?

やよい | 説明

行く国と引く国を選び直しておるのじゃ。

ベトナムではクレジットカードの新規受付をやめた。

インドネシアでも、四輪や中古二輪などの新規受付をやめておる。

ようか | キョトン

やめる国もあれば、始める国もあるんだ。

やよい | 微笑み

うむ。

全部を広げるのではなく、選んで入れ替えておる形じゃな。

ようか | 笑顔

そういえば、さっき言ってた大きな株主って?

ゆり | 無表情

三菱UFJ銀行なのです。

ようか | 驚き

あのでっかい銀行!?

ジャックス、銀行の親戚になったってこと!?

やよい | あきれ顔

親戚ではない、筆頭株主じゃ。

2025年9月に新しい株を発行して、三菱UFJ銀行に買ってもらったのじゃ。

特定の相手に新株を買ってもらうこのやり方を、第三者割当増資という。

ゆり | 無表情

発行したのは 9,980,831株 で、1株 3,916円、合計で約 390.8億円 です。

三菱UFJ銀行の議決権は 40.1% になりました。

共通ポイントの「エムットポイント」への参加や、お金の調達での協力も掲げているのです。

2. 収益構造: 量より質へ切り替える姿勢

ゆり | 無表情

会社はどんな稼ぎ方を目指しているのでしょう?

やよい | 自信あり

うむ、よい問いじゃ。

2025年度から始まった中期経営計画「Do next!」で、「量から質」を掲げておる。

扱う金額をむやみに増やすより、もうかる取引を選ぶ方向じゃな。

ようか | キョトン

量から質……?

具体的に何をするの?

ゆり | 無表情

有報の記載を並べたのです。

方向中身(有報の記載)
伸ばす太陽光・蓄電池・電気自動車などの脱炭素関連の商品、賃貸住宅の家賃保証、銀行の個人ローン保証。M&Aも活用
絞る・見直す国内クレジットの営業体制、収益性を重視したカード戦略、インドネシアの取扱商品の絞り込み
財務金融環境の変化に合わせて貸す量を調整する(会社は「アセットコントロール」と表現)。三菱UFJ銀行グループと組んだ調達の多様化

ようか | 驚き

貸す量をわざと調整するの!?

いっぱい貸したほうが、いっぱいもうかるんじゃないの?

やよい | 説明

そこがこの商売の難しいところじゃ。

立て替えるお金は、この会社が銀行や社債などで借りてきたお金なのじゃ。

有報でも、回収する期間に合わせて借入をしておると説明しておる。

ようか | 驚き

えっ、借りたお金で立て替えてるの!?

やよい | 自信あり

そうじゃ。

だから貸す量を増やすと、借金も一緒に増える。

金利が上がれば、その借金の利息がふくらむのじゃ。

ようか | キョトン

あ、だから冒頭の金融費用が本業の費用なんだ。

ゆり | 無表情

計画の数字も、2026年5月に見直されているのです。

項目(億円)2025年度実績2026年度 当初目標2026年度 修正計画
営業収益1,9231,9901,925
経常利益202250110
親会社株主に帰属する当期純利益153180100

ようか | 驚き

えっ、利益の計画がほぼ半分になってる!?

ゆり | 真剣

有報には、理由として「金融環境の急激な変化やインドネシアの業績回復の遅れ」とあります。

最終年度の2027年度の計画は取り下げたのです。

やよい | 説明

もうひとつ押さえておくことがある。

分割払いの手数料は、回収する期間に分けて少しずつ収益にしておる。

保証料も、保証している残高から入ってくる。

ようか | キョトン

一気にじゃなくて、少しずつ入ってくるってこと?

やよい | 微笑み

そうじゃ。

わらわの見立てじゃが、残高から毎年収益が生まれる積み上げ型が中心とみておる。

会社がその割合を出しておるわけではないから、あくまで推定じゃがな。

ゆり | 微笑み

残高で稼ぎながら、金利が上がる中で貸す量と中身を選び直している、ということですか?

やよい | 自信あり

うむ、そうじゃな。

上がった調達の利息を、お客さんの金利にどこまで上乗せできるか。

それと、インドネシアを中心とした海外の損失が縮むか。この二つは見ておきたいのう。

3. 前期からの変化: 増収なのに利息で減益!?

売上・利益はどう動いた?

ようか | 笑顔

去年と比べて、売上とか利益はどうだったの?

みんなカードいっぱい使って、ジャックスもウハウハ!?

やよい | あきれ顔

カードの使われ方だけで決まるなら楽なのじゃがな。

表を見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
営業収益(売上高に相当)↑1,909.8億円1,923.2億円
販管費↑1,402.0億円1,403.5億円
金融費用↑250.4億円315.5億円
営業利益↓257.3億円204.1億円
営業利益率↓13.5%10.6%
親会社株主に帰属する当期純利益↓186.2億円153.1億円

ようか | 驚き

売上はちょっと増えてるのに、営業利益はけっこう減ってる!

で、販管費ってなに?

やよい | 説明

営業収益は、この会社の売上にあたるものじゃ。

販管費は、人件費など商売を回すためにかかる費用じゃな。

金融費用は、借りたお金に払う利息などの費用じゃ。

ようか | キョトン

利息って、ふつうは本業とは別じゃないの?

やよい | 説明

普通の会社なら、利息は営業利益の下で引く。

じゃがこの会社は、借りたお金そのものが商売道具じゃからな。

利息も本業の費用として、営業利益より上で引いておるのじゃ。

ゆり | 無表情

営業利益が減った 53.2億円 を分けてみたのです。

要因金額中身
営業収益の増加+13.4億円1,909.8億円 → 1,923.2億円
販管費の増加△1.5億円1,402.0億円 → 1,403.5億円
金融費用の増加△65.1億円うち借入金の利息 +45.5億円、CP の利息 +14.7億円
合計△53.2億円営業利益 257.3億円 → 204.1億円

ようか | 泣きつく

CP……全然わからん!

やよい | 説明

コマーシャル・ペーパーの略じゃ。

会社が数か月ほどの短い期間でお金を借りるために出す証券じゃな。

ようか | 笑顔

へー、短い借金なんだ。

やよい | 自信あり

表のとおり、販管費はほとんど増えておらん。

減益のほぼ全部が、金融費用の増加で説明できるのじゃ。

有報でも、国内の調達金利の上昇と資金需要の増加を理由に挙げておる。

ゆり | 無表情

純利益の減り方は 33.1億円 で、営業利益より小さいのです。

項目前期当期
投資有価証券の売却益10.9億円20.3億円
子会社の損失のうちほかの株主が負担する分8.1億円14.2億円

海外の損失は縮んでいるのに、どの子会社の分が増えたのかは開示からは追えないのです。

ようか | キョトン

よくわかんないけど、本業以外の分で少し助かったってこと?

やよい | 説明

そういうことじゃ。

ただ、株の売却益は毎年あるとは限らぬ。

一度きりの分を除けば、本業の減益はもっと大きいと見ておくべきじゃな。

ゆり | 微笑み

海外は、損失が 36.3億円 → 24.7億円 に縮みました。

有報では、債権の質が良くなって、貸倒れに備える費用が減ったと説明されています。

手元資金とネットキャッシュは?

ようか | 笑顔

じゃあ現金は?

お金を扱う会社だし、金庫に札束ザクザク!?

やよい | あきれ顔

札束を眺めて商売しておるわけではないぞ。

表で確認するのじゃ。

項目前期比較前期当期
現金及び預金↓1,747.1億円1,448.5億円
現金及び預金の対資産率↓4.59%3.86%
有利子負債(債権流動化借入金を含む)↓29,462.6億円28,720.8億円
ネットキャッシュ↑△27,715.4億円△27,272.4億円
ネットキャッシュ比率(提出日終値ベース)↑△2,028%△1,749%
自己資本比率↑6.52%7.91%

ようか | 驚き

現金が300億円近く減ってる!

しかもネットキャッシュ、マイナス2兆7千億円!?

倒産!?

やよい | あきれ顔

慌てるでない。

ネットキャッシュは、現金及び預金から利息のつく借金、つまり有利子負債を引いた残りじゃ。

ようか | キョトン

それがマイナス2兆円って、やっぱりヤバくない?

やよい | 説明

借金の向こうには、立て替えてまだ回収していない代金が 3兆2,780.0億円 あるのじゃ。

これを割賦売掛金という。

ようか | キョトン

借りたお金は、お客さんへの立て替えに化けてるってこと?

やよい | 説明

そうじゃ。

借りて、立て替えて、分割で回収して、また返す。

この形ゆえ、ネットキャッシュのマイナスだけで危ないとは言えぬのじゃ。

ゆり | 無表情

表の有利子負債には、債権流動化借入金 9,472.8億円 が入っているのです。

割賦売掛金などの債権を裏付けにして集めたお金です。

有報で会社が示す有利子負債の額に合わせて、ここでは含めて計算しているのです。

ようか | 泣きつく

ネットキャッシュ比率も……全然わからん!

やよい | 説明

時価総額に対して、ネットキャッシュが何%あるかの割合じゃ。

この表では、各期の有報を出した日の終値で時価総額を計算しておる。

当期はマイナスが時価総額の約17倍じゃ。

ようか | 驚き

17倍!?

やよい | 微笑み

じゃが、いま言ったとおり、この業種では事業会社と比べても意味が薄い。

見るなら、自己資本比率や格付、借りる金利と貸す金利の差のほうじゃな。

ようか | キョトン

自己資本比率と格付って?

やよい | 説明

自己資本比率は、総資産のうち返さなくてよい株主のお金でまかなっておる割合じゃ。

格付は、専門の会社が借金を返す力を評価した記号じゃ。

良いほど、安い金利で借りやすくなる。

ゆり | 無表情

現金が減った流れも並べたのです。

区分当期の金額中身
営業CF+231.4億円本業で入ってきた現金
株式の発行による収入+390.8億円三菱UFJ銀行への第三者割当増資
社債の償還△736.4億円前期は△468.0億円
CP の減少△297.0億円前期は△110.0億円
現金及び現金同等物の増減△298.6億円投資CF△122.3億円や配当の支払いなども含めた合計

ようか | 驚き

増資で入ったお金より、借金を返したほうがいっぱい!

やよい | 自信あり

そうじゃ。

現金は減ったが、借金をそれ以上に返したから、ネットキャッシュは 443.0億円 良くなっておる。

自己資本比率が上がったのは、増資で自己資本が増えたからじゃな。

ゆり | 真剣

有報では、格付は R&I と JCR のどちらも長期 A+ と説明されています。

すぐ借りられる融資枠(コミットメントライン)も、合計 1,300億円 用意されているのです。

フリーCFはどうなった?

ようか | キョトン

つぎはフリーCFでしょ?

…えーっと、自由に使えるお金、だっけ?

やよい | 微笑み

おお、覚えておったか。

本業の現金の出入り(営業CF)と、投資の出入り(投資CF)を足した残りじゃ。

まずは表じゃな。

項目前期比較前期当期
営業CF↑△451.7億円231.4億円
投資CF↓△74.5億円△122.3億円
フリーCF↑△526.2億円109.1億円

ようか | 自信あり

プラスになってる!

利益は減ったけど、現金はめっちゃ稼いだってことだ!

やよい | あきれ顔

残念ながら、そうではない。

ゆり、中身を出してくれ。

ゆり | 無表情

要因をまとめてみたのです。

区分前期当期前年差中身
営業CFの増加要因(主因)△246.7億円615.7億円+862.4億円売上債権の増減。当期は減少に転じたのです。割賦売掛金は 33,419.2億円 → 32,780.0億円
営業CFの増加要因(補助)△473.8億円△239.3億円+234.5億円仕入債務の減少幅が縮小したのです。お店への未払い分の減少と思われるのです
営業CFの相殺要因△33.4億円△318.4億円△285.1億円その他の資産の増加。立替金が 264.7億円 → 568.3億円 に増えており、これが中身と思われるのです
投資CFの減少要因(主因)△0.2億円△36.4億円△36.2億円投資有価証券の取得。Carsome Capital の株式取得に当たる支出と思われるのです
投資CFの減少要因(補助)△90.2億円△110.4億円△20.2億円有形・無形固定資産の取得

ようか | キョトン

売上債権の減少?

なんでそれで現金が増えるの?

やよい | 説明

新しく立て替える額より、お客さんから回収する額のほうが多かったのじゃ。

その差が現金として戻ってきた。

会社はこれを「アセットコントロールの強化」と説明しておる。

ようか | キョトン

じゃあ、稼いだから増えたんじゃないの?

やよい | 自信あり

うむ。

利益が増えたからではない。立て替えの残高を減らしたからプラスになったのじゃ。

ようか | 泣きつく

なーんだ、現金を稼いだわけじゃないのかー。

やよい | 説明

表の「思われる」の部分は、有報の明細から推し量ったわらわたちの見立てじゃ。

それと、この会社で成長にお金がかかるのは、設備より立て替えの残高のほうじゃな。

設備投資は 110.4億円 で、減価償却費の 115.4億円 とほぼ同じ水準じゃ。

ゆり | 微笑み

利益は利息の増加で減って、キャッシュは貸す量を絞ったからプラスになった、ということですね。

4. 当期の注目ポイント: 利息の負担と資産の圧縮

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました


▶ 営業収益は前期比 +0.7% の増収なのです。一方で営業利益は △20.7%、営業利益率は 13.5% → 10.6% に下がったのです。

▶ 減益の主因は金融費用の増加 +65.1億円 なのです。借入金の利息が +45.5億円、CP の利息が +14.7億円 増えたのです。

▶ 現金及び預金は △17.1%(1,747.1億円 → 1,448.5億円)なのです。社債の償還と CP の減少が、営業CFと増資の入金を上回ったのです。

▶ フリーCFは △526.2億円 → 109.1億円 で、5期で初めてプラスになったのです。割賦売掛金の減少によるもので、利益の増加によるものではないのです。

▶ 三菱UFJ銀行への第三者割当増資で、自己資本比率は 6.52% → 7.91% に上がったのです。

▶ 分割払いの手数料や保証料など、残高から生まれる収益が中心と思われるのです。ただし会社はその割合を開示していないのです。

5. 5年推移の財務諸表まとめ: 増収でも減益

ようか | 笑顔

前期との違いは分かった!

じゃあ、もっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力から見ていこう。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高1,6411,7351,8481,9101,923
当期純利益183217238186153
営業利益267317331257204
営業利益率16.3%18.3%17.9%13.5%10.6%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 自信あり

売上は毎年ちゃんと増えてる!

なのに利益は2024/3期が一番で、そこから2年続けて下がってる!

やよい | 説明

よう見ておる。

売上の行は営業収益の値じゃ。

2024/3期までは、国内の区分利益が 261.8億円 → 295.3億円 → 333.5億円 と伸びておった。

ようか | 笑顔

そのころは絶好調だったんだ!

やよい | 微笑み

うむ、純利益も最高を更新しておる。

有報では、積み上げてきた手数料の残高と保証残高が収益になってきた、と説明しておるぞ。

ゆり | 無表情

ピークの2024/3期から当期までの、営業利益の減り方を分けたのです。

要因(2024/3期 → 2026/3期)金額中身
営業収益の増加+75.3億円1,847.8億円 → 1,923.2億円
販管費の増加△92.9億円1,310.6億円 → 1,403.5億円。ほぼ全額が2025/3期の増加(+91.4億円)
金融費用の増加△109.6億円206.0億円 → 315.5億円
合計△127.1億円営業利益 331.3億円 → 204.1億円。端数処理のため内訳の合計と0.1億円ずれる

ようか | 驚き

利息だけじゃなくて、販管費も結構増えてる!

やよい | 説明

そこは年ごとに分けて見るのが大事じゃ。

2025/3期の減益は、販管費の増加 +91.4億円 が金融費用の増加 +44.5億円 より大きかった。

ようか | キョトン

その年は、なんで販管費が増えたの?

やよい | 説明

有報は、貸倒れに備える費用の増加と、海外が 36.3億円 の損失に転じたことを挙げておる。

販管費の内訳までは追えぬが、そのあたりが入っておると見ておる。

ようか | キョトン

じゃあ、当期はどうだったの?

やよい | 自信あり

先ほど見たとおり、当期は販管費がほぼ横ばいで、金融費用だけが 65.1億円 増えた。

2年通して見れば、利息の増加が一番大きく、販管費の増加も重なった形じゃな。

ゆり | 無表情

営業収益に対する金融費用の割合も並べたのです。

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
金融費用(億円)143.8156.6206.0250.4315.5
金融費用 ÷ 営業収益8.8%9.0%11.1%13.1%16.4%

ようか | 驚き

売上の6分の1くらいが利息になってる!?

やよい | 自信あり

うむ、この5年で割合はおよそ倍じゃ。

次はキャッシュの流れを追っていくぞ。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金1,3881,6241,8761,7471,448
現金及び預金の対資産率4.3%4.5%5.0%4.6%3.9%
ネットキャッシュ△23,530△25,889△27,054△27,715△27,272
ネットキャッシュ比率△1,999%△1,470%△1,657%△2,028%△1,749%
フリーCF△1,593△2,222△1,043△526109

ようか | 驚き

フリーCF、4年ずっとマイナスで、当期だけプラス!

ネットキャッシュも毎年すごいマイナス!

ゆり | 無表情

割賦売掛金と有利子負債の5年も並べたのです。

項目(億円)2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
割賦売掛金27,76931,38532,96433,41932,780
有利子負債(債権流動化借入金を含む)24,91827,51228,93029,46328,721
自己資本比率5.8%5.7%6.1%6.5%7.9%

やよい | 説明

2025/3期までに、割賦売掛金は 5,650.2億円 増えておる。

立て替えを増やした分がそのまま営業CFのマイナスになり、借入や社債でまかなっておったのじゃ。

ようか | キョトン

じゃあ当期は?

やよい | 自信あり

冒頭でも触れた増資もあって、割賦売掛金と有利子負債がそろって減った。

それで自己資本比率が上がったのじゃ。

ゆり | 無表情

ネットキャッシュ比率が、年によって大きく動いているのです。

これは借金が年ごとに大きく増えたり減ったりした、ということですか?

やよい | 説明

そうとも読めるが、本当は分母の時価総額の動きが大きいのじゃ。

ネットキャッシュの額は、2023/3期以降 △2.6兆円 → △2.8兆円 の間でそれほど変わっておらん。

提出日の株価が 5,020円 と高かった2023/3期は、比率のマイナスが小さく出ておる。

ようか | 驚き

株価で比率が動いちゃうんだ!

やよい | 微笑み

そうじゃ。

それに、この会社のネットキャッシュは借りて貸す商売の結果じゃ。

事業会社の比率と並べて比べるものではないと覚えておくがよい。

ゆり | 微笑み

さらに詳しく知りたい人向けに、財務諸表をまとめたのです。必要な方は下を開いてください。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金1,3881,6241,8761,7471,448
流動資産31,26534,85336,78837,01436,370
有形固定資産233228230230231
総資産32,15035,75737,77638,06837,524
流動負債16,70718,52119,30919,49518,814
固定負債13,52115,13016,08316,01415,686
純資産1,9222,1062,3842,5583,024
自己資本比率5.8%5.7%6.1%6.5%7.9%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高1,6411,7351,8481,9101,923
売上原価-----
売上総利益-----
営業利益267317331257204
親会社帰属純利益183217238186153

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業CF△1,520△2,140△980△452231
投資CF△73△82△63△74△122
財務CF1,8612,4611,290397△412
フリーCF△1,593△2,222△1,043△526109
現金増減264237253△130△299

(連結・日本基準、単位は億円。売上高は営業収益の値。信販会社の損益計算書の形式のため、売上原価と売上総利益の区分はありません。現金増減は現金及び現金同等物の増減額を指します)

6. 指標まとめ: 金融業ならではの見方

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

…と言いたいところじゃが、その前にひとつ。

この会社は利息を引いた後の利益で見るから、下の指標に事業会社と同じ物差しは当てはまらぬぞ。

では、ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

任された!

売上は5年ずっと増えてるけど、利息がどんどん重くなって利益は2年続けて減った!

当期のフリーCFのプラスは、稼いだからじゃなくて貸す量を絞ったから!

三菱UFJ銀行と組んで、利息の負担をどこまで抑えられるか注目だな!

ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

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指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPERやEBITDAやROICあたりを、財務健全性は流動比率やEBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率やネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER10.90倍時価総額 1,669.5億円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益 153.1億円。期中に増資したため、会社開示の1株当たり純利益 380.28円で割ると 9.74倍
現金比率3.86%現金及び預金 1,448.5億円 ÷ 総資産 37,524.2億円
流動比率193.3%流動資産 36,370.4億円 ÷ 流動負債 18,814.0億円。割賦売掛金が流動資産に入るため高く出る。短期の支払い余力をそのまま表すものではない
ネットキャッシュ△27,272.4億円現金及び預金 1,448.5億円 − 有利子負債 28,720.8億円(債権流動化借入金を含む)。有価証券は0として計算
ネットキャッシュ比率△1,634%ネットキャッシュ ÷ 時価総額(参考株価ベース)。立て替え資金を借入でまかなう業種のため恒常的に大きなマイナスとなり、事業会社とは比べられない
EBITDA319.5億円営業利益 204.1億円 + 減価償却費 115.4億円。この会社の営業利益は利息を引いた後の値である点に注意
EBITDA/自己資本10.77%EBITDA ÷ 自己資本 2,967.4億円
EBITDA/利息1.07倍EBITDA ÷ 支払利息 299.5億円。利息を引いた後の利益で割っているため、事業会社の利払い能力とは比べられない。利息を引く前の目安(営業利益 + 金融費用)÷ 金融費用は 1.65倍(2022/3期は 2.86倍)
ROIC1.01%営業利益 × 0.7 ÷(自己資本 + 借入金)。分母の借入は立て替え資金の調達で、事業会社の設備への投資とは性質が違うため極めて低く出る。資本効率は ROE(会社開示 5.62%)で見るほうが実態に近い

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 調達金利上昇リスク(トップリスク): 金融市場の変化や格付・信用力の低下で借入や社債の金利が上がり、金融費用が増える。資産と負債の期間を合わせる管理(ALM)と、金利シナリオに応じた調達方法で対応。
  • 貸倒関連費用の増加リスク(トップリスク): 個人の信用状況の悪化、審査精度の低下、不正申込の増加、加盟店の経営悪化や不動産市場の悪化で貸倒引当金の積み増しが必要になる。
  • サイバーセキュリティリスク(トップリスク): 不正アクセスやウイルス感染による個人情報の流出、システム停止、損害賠償、評判の悪化。
  • システムリスク(トップリスク): 災害や停電、機器故障によるシステム・通信の重大な障害で、お客様や加盟店へのサービスが止まる。
  • 法令違反や不祥事案の発生リスク(トップリスク): 監督官庁の処分による業務停止や社会的信用の失墜。当期にトップリスクへ追加。
  • 災害・疫病リスク(トップリスク): 首都圏直下型地震などで事業継続に必要な人や設備が被害を受ける。当期にトップリスクへ追加。
  • カントリーリスク: ベトナム、インドネシア、フィリピン、カンボジア、マレーシアで事業を行い、新たにシンガポールへ進出。各国の政情や規制の変化の影響を受ける。当期に発生頻度の評価を引き上げ。
  • 法令・規制に関わるリスク: 割賦販売法や貸金業法などの制定・改正が、業務運営や商品・サービスに影響する。
  • 5年での変化: 調達金利上昇と貸倒関連費用の増加は、2025/3期からトップリスクとして明示されている。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数45,059,992株2025年9月の第三者割当増資で 35,079,161株から 9,980,831株増加。5期間に株式分割は無し
自己株式数282,714株自己保有割合 0.63%。株式報酬などでの処分により毎期減少
1株当たり年間配当200円中間100円 + 期末100円。期末配当は2026年6月25日開催予定の定時株主総会の決議事項
配当利回り5.40%参考株価 3,705円ベース
配当の推移160→190→220→190→200円2022/3期から2026/3期。2024/3期の220円は創立70周年の記念配当10円を含む
連結配当性向(計算値)52.6%1株配当 200円 ÷ 1株当たり純利益 380.28円。会社開示の単体配当性向は 64.99%
配当方針DOE 3.0% または連結配当性向 40% の高い方中期経営計画「Do next!」の方針。あわせて1株当たり200円以上とする。当期の DOE(配当総額 ÷ 自己資本)の計算値は 3.02%
年間配当総額89.5億円前期の 66.0億円から、株数の増加で増えた。2026年度の修正計画(純利益100億円)で1株200円を維持すると、配当総額は純利益の9割弱になる計算
自己株式の取得実質なし5期とも単元未満株の買取程度
ストック型収益との関係—残高から生まれる収益の額は開示されていない。参考として配当総額は営業収益の約4.7%
1株当たり純資産6,625.00円前期 7,142.20円から減少。1株当たり純資産を下回る 3,916円で増資したことによる希薄化の影響と思われる
大株主三菱UFJ銀行 39.41%三菱UFJフィナンシャル・グループ全体の被所有割合は 40.3%。会社にとって「その他の関係会社」に当たる
株主総利回り(5年)218.81%会社開示。2021年3月期末を100%とした値

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は本記事を作成した時点の値(3,705円、2026-09-24 終値)を使用しています。時価総額・PER・配当利回り・指標まとめのネットキャッシュ比率は、この株価を前提とした参考値で、自己株式は控除していません。

5年推移表とグラフ、および前期比較の表のネットキャッシュ比率は、各期の時価総額に基づく参考値です。各期の時価総額は、有価証券報告書の提出日終値と、当時の提出日現在の発行済株式総数から算出しています。

  • 2022/3期: 3,355円 × 35,079,161株 = 1,176.9億円
  • 2023/3期: 5,020円 × 35,079,161株 = 1,761.0億円
  • 2024/3期: 4,655円 × 35,079,161株 = 1,632.9億円
  • 2025/3期: 3,895円 × 35,079,161株 = 1,366.3億円
  • 2026/3期: 3,460円 × 45,059,992株 = 1,559.1億円

指標まとめのネットキャッシュ比率(△1,634%)は記事作成時点の参考株価で算出しており、算出基準が異なるため、5年推移表の当期の値(△1,749%)とは一致しません。

財務数値は連結・日本基準です。売上高には営業収益の値を使っています。信販会社の損益計算書の形式のため売上原価と売上総利益の区分は無く、借入の利息などの金融費用は営業費用に含まれています。そのため営業利益は利息を差し引いた後の値です。

有利子負債は、有価証券報告書で会社が示す有利子負債の額(リース債務を除く)に合わせ、短期借入金、CP、社債、長期借入金、債権流動化借入金を合計しています。債権流動化借入金を除いた場合の当期の有利子負債は19,248.0億円、ネットキャッシュは△17,799.6億円です。有価証券(流動資産)は抽出した財務データに該当科目の行が無いため0円として扱っています。

ネットキャッシュの大きなマイナスは、割賦売掛金などの営業資産を借入でまかなう信販業の形によるもので、事業会社のネットキャッシュやROICと同じ基準では比べられません。この業種では、借りる金利と貸す金利の差、自己資本比率、格付の推移などをあわせて見る必要があります。

2023/3期から、信用保証の残高を貸借対照表に載せず偶発債務として注記する方法に変わり、過去にさかのぼって適用されています。2022/3期の貸借対照表の数値は、この変更を反映した後の値です。

次の整理は、財務諸表の明細や有価証券報告書の記述から推し量った推定を含みます。

  • 収益の大半を、残高から生まれる積み上げ型とみる整理
  • 仕入債務の減少を、お店への未払い分の減少とみる整理
  • その他の資産の増加を、立替金の増加とみる整理
  • 投資有価証券の取得を、Carsome Capital の株式取得とみる整理
  • 2025/3期の販管費の増加に、貸倒関連費用が含まれるとみる整理
  • 1株当たり純資産の減少を、増資による希薄化とみる整理

連結配当性向とDOEは計算値で、会社開示の単体配当性向とは異なります。PERは時価総額 ÷ 純利益で算出しており、期中の増資により、会社開示の1株当たり純利益を使った値とは一致しません。表示している金額は端数処理後の値のため、表の数値同士の足し引きと0.1億円程度ずれることがあります。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります。

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第95期、2026年6月22日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。