決算分析

株式会社カナデン
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/09/25

増収増益、営業CFは前期の約1.8倍に | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目値
前提2026-09-24 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価2,601円
発行済株式総数22,500,000株
時価総額585.2億円

利益より、現金が先に走った ―― カナデン2026年3月期を読む

提出日:2026-06-22 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
売上高1,256.65億円1,456.14億円+15.9%
営業利益44.99億円53.32億円+18.5%
営業CF51.14億円92.38億円+80.6%

ようか | 笑顔

売上も利益も増えてる!

いい決算じゃん!!


やよい | 微笑み

うむ。じゃが、いちばん下の行を見てみるのじゃ。


ようか | 驚き

営業CF……+80.6% !?

利益の伸びより、ぜんぜん大きい!

そんなに現金ってもうかるものなの?


やよい | 自信あり

もうけが増えただけでは、こうはならぬ。

現金の増え方には、別の理由がありそうじゃ。

順番に確かめていくぞ。


目次

  • 会社概要: 三菱電機の代理店を核にした電機商社
  • 収益構造: 買収も使って規模と収益性を狙う姿勢
  • 前期からの変化: 増収増益でキャッシュも急増!?
  • 当期の注目ポイント: インフラの増収と前受金
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 4期連続の増収と還元強化
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と還元の現在地
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 三菱電機の代理店を核にした電機商社

ようか | 笑顔

カナデンかぁ。

カナダの電気を売ってる会社だっけー?

やよい姉! 解説よろしく!!

やよい | あきれ顔

カナダは関係ない。

1907年に神奈川電気として始まった、電機の商社じゃ。

ようか | キョトン

神奈川の電気でカナデン!

で、何を売ってるの?

やよい | 説明

三菱電機の代理店として、工場や鉄道、ビル向けの電機製品を仕入れて売っておる。

売るだけでなく、据え付けや保守までまとめて引き受けるのが稼ぎ方じゃ。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品工場の自動化に使うFA機器(FAはファクトリーオートメーションの略)、鉄道向けの変電設備・車両用電機品・無線通信機器、半導体・電子デバイス
その他商品無停電電源装置・昇降機・空調などのビル設備、交通安全システム、防衛装備品、映像ソリューション、電子医療装置など
収益形態商品をその都度販売するフロー型が中心。代理店としての販売に、エンジニアリング・据付・保守を上乗せ
開示区分日本基準の連結。FAシステム、ビル設備、インフラ、情通・デバイスの4事業。2026年4月から「FAシステム/ビル設備/半導体・デバイス/社会インフラ」に再編
主な仕入先三菱電機(カナデンの議決権の21.2%を持つ関係会社)。当期の仕入全体に占める割合は54.2%

ようか | 自信あり

三菱の代理店ってことは、

街の電気屋さんで三菱の冷蔵庫を売ってるんだ!

やよい | あきれ顔

家電屋さんではない。

お客さんは、工場や鉄道会社、ビルの持ち主などの企業じゃ。

売っておるのも、工場のラインを動かす機器や電車の部品のような業務用の品が中心じゃな。

ようか | 驚き

電車の部品まで!

ゆり | 無表情

ここ数年は、仲間も増えているのです。

2023年12月に日本制御エンジニアリング、2024年12月に髙島電機を買収して子会社にしました。

2025年4月には、インドに子会社を設立しているのです。

2. 収益構造: 買収も使って規模と収益性を狙う姿勢

ゆり | 無表情

会社はどんな稼ぎ方を目指しているのでしょう?

やよい | 自信あり

うむ、よい問いじゃ。

会社は2028年度までの中期経営計画で、「強みの掛合せ」で稼ぐ力の高い会社にすると書いておる。

そのために、3年間で 150億円 を人材や技術、買収などに使う計画じゃ。

ようか | 驚き

150億円!?

なにに使うのか想像つかない!

やよい | 説明

有報では、人を育てる費用や技術の開発、買収の資金などが挙がっておる。

買収の大きさによっては、借入も考えると書いておるな。

ゆり | 無表情

事業ごとの稼ぎも並べたのです。

事業ごとの利益は、会社の開示どおり経常利益で示しています。

事業当期売上高構成比当期経常利益経常利益率
FAシステム549.35億円37.7%22.05億円4.0%
ビル設備183.35億円12.6%3.07億円1.7%
インフラ390.70億円26.8%7.65億円2.0%
情通・デバイス332.73億円22.8%21.50億円6.5%

ようか | 泣きつく

経常利益……全然わからん!

やよい | 説明

本業のもうけの営業利益に、利息や配当の受け取りなどを足し引きしたもうけのことじゃ。

ようか | キョトン

表だと、どこが稼いでるの?

やよい | 説明

FAシステムと情通・デバイスの2つで、4事業の経常利益の約8割を稼いでおる。

インフラは売上が大きいわりに、利益率は 2.0% しかないのじゃ。

ゆり | 微笑み

買収も使って規模を広げながら、利益率の高い仕事を増やそうとしている、ということですか?

やよい | 自信あり

うむ、そうじゃな。

150億円の投資が、利益率の改善にちゃんとつながるか。そこは見ておきたいのう。

3. 前期からの変化: 増収増益でキャッシュも急増!?

売上・利益はどう動いた?

ようか | 笑顔

去年と比べて、売上と利益はどうだったの?

三菱の力でドカンと伸びた!?

やよい | あきれ顔

力で片づけるでない。

表にしたから見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
売上高↑1,256.65億円1,456.14億円
売上総利益率↓14.33%13.83%
販売費及び一般管理費(販管費)↑135.03億円148.11億円
販管費率↓10.74%10.17%
営業利益↑44.99億円53.32億円
営業利益率↑3.58%3.66%
親会社株主に帰属する当期純利益↑39.42億円39.66億円

ようか | 驚き

売上が200億円近く増えてる!!

でも、売上総利益率と販管費率ってのは下がってる?

やよい | 説明

売上総利益は、売上から仕入れ値を引いた残りじゃ。粗利とも呼ぶ。

販管費は、人件費や事務所の家賃など、商品を売るために毎年かかる費用のことじゃ。

ゆり | 無表情

営業利益の増加を、この2つに分けたのです。

項目前期当期前年差
売上総利益180.02億円201.43億円+21.41億円
販管費135.03億円148.11億円+13.08億円
営業利益44.99億円53.32億円+8.33億円

ようか | キョトン

粗利が増えて、費用も増えて、残りが増えたってこと?

やよい | 説明

そういうことじゃ。

粗利の増え方が、費用の増え方を上回ったから増益になった。

ようか | キョトン

でも粗利の率は下がってたよね?

やよい | 微笑み

そうじゃ。

ただ費用の伸びを売上の伸びより小さく抑えたので、営業利益率はほぼ横ばいを保っておる。

ゆり | 無表情

売上高の増加を、事業ごとに分けたのです。

事業前期当期前年差
インフラ288.81億円390.70億円+101.89億円
FAシステム482.47億円549.35億円+66.88億円
情通・デバイス310.12億円332.73億円+22.61億円
ビル設備175.23億円183.35億円+8.12億円

ようか | 驚き

インフラだけで100億円以上!!

増えた分の半分がインフラじゃん!

やよい | 説明

有報では、鉄道会社が設備投資を戻して、無線通信機器や車両用の機器が伸びたと説明しておる。

防衛関連や官公庁向けの案件も増えたそうじゃ。

ようか | キョトン

FAシステムは?

やよい | 説明

前の年に買った髙島電機が、1年まるごと加わったのが大きいのじゃ。

ゆり | 無表情

売上総利益率が下がったのは、利益率の低いインフラが増えたからですか?

やよい | 説明

有報に理由の説明は無いので、わらわの見立てじゃが、そう考えるのが自然じゃろう。

インフラは売上が増えても、残る粗利が少ない事業じゃからの。

ゆり | 無表情

事業ごとの経常利益も並べたのです。

事業前期当期前年差
インフラ1.86億円7.65億円+5.79億円
情通・デバイス18.97億円21.50億円+2.53億円
ビル設備3.18億円3.07億円▲0.11億円
FAシステム22.80億円22.05億円▲0.75億円

ようか | キョトン

あれ、FAシステムは売上が増えたのに、利益はちょっと減ってる?

やよい | 説明

会社は、レーザ加工機などの産業メカトロニクスが減ったことと、販管費の増加を理由に挙げておる。

FAシステムは増収減益、インフラは利益でも伸びた、という1年じゃな。

ようか | キョトン

でも純利益は、ほとんど増えてなかったよね?

ゆり | 真剣

特別利益を並べたのです。

項目前期当期
特別利益11.23億円1.97億円
うち退職給付制度移行益9.52億円-
親会社株主に帰属する当期純利益39.42億円39.66億円

ようか | キョトン

去年だけ、特別なもうけがあったってこと?

やよい | 説明

そうじゃ。

特別利益が 9.26億円 減ったから、営業利益の増加が純利益まで届かなかったのじゃ。

手元資金とネットキャッシュは?

ようか | 笑顔

じゃあ現金は?

利益が増えたなら、現金も増えてるよね!?

やよい | 説明

まずは表で見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
現金及び預金↑167.23億円241.26億円
現金及び預金の対資産率↑18.77%24.63%
有利子負債↑0.77億円0.78億円
ネットキャッシュ↑166.46億円240.48億円
ネットキャッシュ比率(提出日終値ベース)↑38.0%41.6%
自己資本比率↓53.9%52.0%

ようか | 驚き

現金が70億円以上も増えてる!!

でもネットキャッシュってなんだっけ?

やよい | 説明

現金から借金を引いた、正味の現金のことじゃ。

ネットキャッシュ比率は、それが時価総額の何%にあたるかを示す。

ようか | キョトン

カナデンの借金は?

やよい | 自信あり

リースの支払い分くらいしかない。

だから、現金がほぼそのまま正味の現金になっておる。

ようか | キョトン

じゃあ、下がってる自己資本比率ってのは何?

やよい | 説明

会社の資産のうち、返さなくてよいお金でまかなっておる割合じゃ。

株主が出したお金と、これまで貯めた利益がそれにあたる。

ゆり | 無表情

下がった理由を分けたのです。

項目前期当期前年差
総資産890.90億円979.62億円+88.72億円
自己資本479.89億円509.03億円+29.14億円
仕入債務342.66億円357.72億円+15.06億円
前受金10.92億円36.84億円+25.92億円

ようか | 泣きつく

仕入債務と前受金……また知らない言葉!

やよい | 微笑み

仕入債務は、仕入れ先にまだ払っていない代金じゃ。

前受金は、商品を渡す前にお客さんから先に受け取った代金じゃな。

どちらも借金ではないが、帳簿の上では負債に入る。

ようか | キョトン

じゃあ、自己資本が減ったわけじゃないの?

やよい | 自信あり

そうじゃ。自己資本は 29.14億円 増えておる。

ただ、前受金などで総資産がそれ以上に増えたから、割合としては下がったのじゃ。

ようか | 驚き

増えたのに下がるって、ややこしっ!

ゆり | 無表情

それでも自己資本比率は、まだ5割を超えているのです。

フリーCFはどうなった?

ようか | 笑顔

冒頭で出てた現金の話、フリーCFってやつは!?

やよい | 説明

まずは表で見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
営業CF↑51.14億円92.38億円
投資CF↑▲19.05億円▲1.59億円
フリーCF↑32.09億円90.79億円
財務CF↑▲39.92億円▲16.96億円

ようか | 驚き

フリーCFが3倍近く!!

大もうけじゃん!!

やよい | あきれ顔

落ち着け。

営業CFは本業で入ってきた現金、投資CFは設備や買収に使った現金じゃ。

フリーCFはその2つを足した、自由に使える現金じゃな。

ようか | キョトン

じゃあ、もうけがそれだけ増えたってこと?

やよい | 説明

もうけの営業利益は 8.33億円 増えただけじゃ。

現金の増え方には、別の理由がある。

ゆり | 無表情

営業CFの増加 41.24億円 の内訳なのです。

金額はキャッシュ・フロー計算書の値で、プラスが現金が増える向きです。

項目前期当期前年差区分
売上債権及び契約資産の増減▲47.29億円1.50億円+48.79億円増加要因
退職給付関連(負債の増減・制度移行益など)▲23.51億円0.13億円+23.64億円増加要因
前受金の増減2.73億円25.90億円+23.17億円増加要因
賞与引当金の増減▲4.21億円3.90億円+8.11億円増加要因
前渡金の増減▲0.14億円▲11.85億円▲11.71億円減少要因
仕入債務の増減31.50億円14.63億円▲16.87億円減少要因
棚卸資産の増減34.09億円6.75億円▲27.34億円減少要因
その他(税引前利益・減価償却費・法人税の支払いなど)57.97億円51.42億円▲6.55億円減少要因
営業CF51.14億円92.38億円+41.24億円合計

ようか | 泣きつく

売上債権ってなに?

借金の仲間?

やよい | 説明

逆じゃ。

物は渡したが、代金をまだもらっておらん「ツケ」のことじゃ。

ようか | 笑顔

ツケ!

飲み屋さんのやつだ!

やよい | 説明

前期はツケが大きく増えて、そのぶん現金が入ってこなかった。

当期はツケが増えなかったから、その差がそのまま現金の増加になっておる。

ゆり | 無表情

会社は当期の営業CFの説明で、前受金の増加 25.90億円 を挙げているのです。

仕入債務の増加 14.63億円 と、在庫の減少 6.75億円 も挙げています。

ようか | 自信あり

先にお金をもらえるなんて、ラッキーじゃん!

やよい | 説明

ラッキーで済む話でもない。

前受金は、商品を納めれば売上に変わって減っていくお金じゃ。

わらわの見立てじゃが、大きな案件で先にお代を受け取った分が入っておるのじゃろう。

ゆり | 無表情

仕入れ先へ先に払う前渡金も、11.85億円 増えているのです。

やよい | 説明

お客さんから先にもらい、仕入れ先へ先に払っておる。

大口案件の準備が進んでおる途中とみておる。

ゆり | 真剣

ここは開示に無いので推定ですが、前受金の分は来期以降に減るかもしれません。

退職金の制度変更の分も、CFの明細から推し量った数字なのです。

ようか | キョトン

投資CFのほうは、なんで小さくなったの?

ゆり | 無表情

前期は、髙島電機の取得に 17.11億円 を使ったのです。

当期は買収が無く、設備などへの投資は有形 3.50億円、無形 1.47億円 です。

投資有価証券の売却で、2.82億円 が入っているのです。

やよい | 説明

商社は大きな工場がいらんから、設備投資は毎年数億円で済んでおる。

わらわの見立てでは、売上を伸ばすときに要るのは、

設備より、ツケや在庫を立て替えるお金と買収のお金じゃ。

ようか | キョトン

じゃあ営業CFは、毎年安定してるの?

やよい | 説明

そうでもない。

ツケの回収と仕入れ代金の支払いのタイミングがずれると、営業CFに大きく響くと会社も書いておる。

商社の営業CFは、年ごとに大きく振れやすいのじゃ。

ゆり | 微笑み

インフラを中心に増収増益で、前期の買収の支出が無くなり、

ツケの増加が止まって前受金が増えたので、フリーCFが大きく増えた、ということですね。

4. 当期の注目ポイント: インフラの増収と前受金

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました


▶ 売上高は +15.9%(1,456.14億円)、営業利益は +18.5%(53.32億円) なのです。増収額 199.49億円 のうち 101.89億円 がインフラ事業なのです。

▶ 営業利益率は 3.58% → 3.66% とほぼ横ばいなのです。売上総利益率は 14.33% → 13.83% に下がりましたが、販管費率が 10.74% → 10.17% に下がったのです。

▶ 純利益は +0.6%(39.66億円) にとどまったのです。前期にあった特別利益 11.23億円 が、当期は 1.97億円 に減ったためなのです。

▶ 現金及び預金は +44.3%(241.26億円) なのです。前受金の増加 25.90億円 を含むため、ここは推定ですが、案件の納品が進めば一部は減る可能性があるのです。

▶ フリーCFは 32.09億円 → 90.79億円(+182.9%) なのです。売上債権の増減の前年差 +48.79億円、前受金の増加、前期にあった買収の支出 17.11億円 が無くなったことが主な理由なのです。

▶ ネットキャッシュ比率は参考株価 2,601円 で 41.1% なのです。100%には届きませんが、時価総額の約4割をネットキャッシュが占めるのです。

▶ 4事業とも商品をその都度売るフロー型が中心で、ストック型収益(契約で継続的に入る収益)の比率は大きくないのです。この分類は会社の開示ではなく推定なのです。

5. 5年推移の財務諸表まとめ: 4期連続の増収と還元強化

ようか | 笑顔

前期との違いは分かった!

じゃあ、もっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力から見ていこう。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高10081064116312571456
当期純利益1929353940
営業利益2840454553
営業利益率2.8%3.7%3.9%3.6%3.7%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 驚き

売上は毎年ちゃんと増えてる!!

営業利益も、ほぼ倍になってるじゃん!

やよい | 微笑み

うむ、売上は4期連続で増えておる。

ただ、営業利益は2025/3期だけ前の年とほぼ同じで、5年で唯一の減益じゃ。

ようか | キョトン

その年は何があったの?

ゆり | 無表情

FAシステムの経常利益が、28.13億円 → 22.81億円 に減った年なのです。

やよい | 説明

会社は、利益率が比較的高いFAの分野が低調だったと説明しておる。

ゆり | 無表情

利益率の中身と、インフラの売上も並べたのです。

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上総利益率14.5%15.3%14.9%14.3%13.8%
販管費率11.7%11.5%11.0%10.7%10.2%
インフラの売上高(億円)233.17182.88238.78288.81390.70
売上高に占めるインフラの割合23.1%17.2%20.5%23.0%26.8%

ようか | キョトン

粗利の率は下がってるのに、営業利益率は上がってる?

なんか逆っぽい!

やよい | 説明

販管費の率を、5年で 1.5ポイント 下げてきたからじゃ。

売上が伸びても、人件費などの費用はそこまで増やさずに済んでおる。

営業利益率の改善は、粗利の率ではなく費用のほうから来ておるのじゃ。

ようか | キョトン

じゃあ、粗利の率が下がってるのは?

やよい | 説明

有報に理由の説明は無いが、わらわの見立てではインフラの割合じゃ。

インフラの割合が一番低い2023/3期に、粗利の率が一番高い。

割合が上がった当期は、一番低いのじゃ。

ゆり | 真剣

2023/3期のインフラは、前の年の大口案件が無くなったことと、

部材の納期が延びたことで減ったと、会社は説明しています。

ようか | 驚き

売上が増えるほど、率は下がっちゃうこともあるんだ!

やよい | 自信あり

インフラの割合しだいじゃな。

さて、次はキャッシュの流れを追っていくぞ。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金130.7153.4170.5167.2241.3
現金及び預金の対資産率16.6%18.4%19.9%18.8%24.6%
ネットキャッシュ173.9152.8162.1166.5240.5
ネットキャッシュ比率59.9%50.4%40.6%38.0%41.6%
フリーCF31.0▲2.530.832.190.8

ようか | 驚き

2023/3期だけ、フリーCFがマイナス!

それに最初の年は、ネットキャッシュが現金より多い!?

ゆり | 無表情

2022/3期は、すぐに現金にできる短期の運用資産 63.00億円 を持っていたのです。

これを7割の価値で足しているので、ネットキャッシュが現金及び預金を上回ります。

やよい | 説明

2023/3期のマイナスは、ツケと在庫が一気に増えたからじゃ。

売上債権が 53.1億円、在庫が 35.1億円 増えて、仕入債務の増加 60.1億円 を上回った。

ようか | キョトン

なんで在庫がそんなに増えたの?

やよい | 説明

部材が手に入りにくい時期での。

わらわの見立てじゃが、在庫を厚めに持った結果じゃろう。

ゆり | 無表情

2023/3期は、ネットキャッシュも減っているのです。

この年は、自己株式の取得に 36.55億円 を使っていました。

ようか | キョトン

自己株式……?

やよい | 説明

それはあとで説明する。

マイナスのフリーCFと、この支出が重なった年じゃな。

ゆり | 無表情

ネットキャッシュ比率は下がっていますが、ネットキャッシュの額は増えているのです。

株価が上がって時価総額が大きくなったから、ということですか?

やよい | 自信あり

うむ、分母の時価総額が増えたのじゃ。

提出日の時価総額は 290.29億円 → 577.58億円 と、ほぼ倍になっておる。

現金が減って比率が下がったわけではないぞ。

ゆり | 無表情

5期分の現金の使い道も合計したのです。

項目5期合計
フリーCF182.16億円
配当金の支払い57.49億円
自己株式の取得55.50億円

ようか | キョトン

さっきの自己株式の取得って?

やよい | 説明

会社が自分の株を、お金を払って取得することじゃ。

カナデンは、取得した株などを消しておる。

ゆり | 無表情

取得額と株数を並べたのです。

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
自己株式の取得額1.56億円36.55億円0.00億円17.39億円0.00億円
発行済株式総数2,860万株2,360万株2,360万株2,250万株2,250万株

ようか | 驚き

株の数が2割以上も減ってる!

やよい | 自信あり

稼いだ現金の範囲で株主に返しつつ、残りで現金も増やしてきた5年じゃな。

ゆり | 無表情

配当の方針と1株配当も並べたのです。

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
1株当たり配当26円39円53円70円72円
連結配当性向36.1%33.4%35.8%40.5%40.4%

ようか | 驚き

5年で配当が3倍近く!!

配当の方針って、結局どうなってるの?

やよい | 説明

まず配当性向は、利益のうち配当に回す割合じゃ。

カナデンはこれを 35% から 40% に上げた。

当期からは、原則として減配しない累進配当も始めておる。

ようか | キョトン

じゃあDOEは?

やよい | 説明

DOEは、株主のお金である株主資本に対して何%を配当するかの目安じゃ。

2027/3期からは 4.5% を基準にすると書いておる。

減配しない方針も、そのまま続けるそうじゃ。

ようか | キョトン

割合の相手が、利益から株主資本に変わるってこと?

やよい | 微笑み

そうじゃ。

短期的な利益の増減に左右されず、安定した配当にするためと会社は説明しておる。

ゆり | 微笑み

さらに詳しく知りたい人向けに、財務諸表をまとめたのです。必要な方は下を開いてください。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金130.7153.4170.5167.2241.3
流動資産637.0688.2684.0720.1804.0
有形固定資産87.485.485.885.486.0
総資産785.5832.9856.0890.8979.6
流動負債318.1377.9366.9404.3462.4
固定負債11.711.37.16.68.1
純資産455.7443.8482.0479.9509.2
自己資本比率58.0%53.3%56.1%53.9%52.0%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高1,008.31,064.21,162.71,256.71,456.1
売上原価862.0901.9989.61,076.61,254.7
売上総利益146.3162.3173.1180.0201.4
営業利益28.539.745.445.053.3
親会社帰属純利益19.229.034.739.439.7

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業CF36.1▲3.538.151.192.4
投資CF▲5.11.0▲7.3▲19.1▲1.6
財務CF▲10.5▲43.8▲9.8▲39.9▲17.0
フリーCF31.0▲2.530.832.190.8
現金増減22.1▲43.323.1▲5.275.0

(連結・日本基準、単位は億円。各期の有価証券報告書に記載された値。自己資本比率は会社開示の値。現金増減は現金及び現金同等物の増減額)

6. 指標まとめ: 稼ぐ力と還元の現在地

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

売上は4期連続で増えて、当期はインフラが大きく伸びた!

冒頭の現金の増え方は、もうけだけじゃなくてツケと前受金のおかげ!

配当の決め方が配当性向からDOEに変わって、減配しない方針も続く!

150億円の投資計画でどこまで稼ぐ力が上がるか、これからが楽しみだな!

ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPERやEBITDAやROICあたりを、財務健全性は流動比率やEBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率やネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER14.76倍時価総額585.23億円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益39.66億円(参考株価2,601円ベース)
現金比率52.2%現金及び預金241.26億円 ÷ 流動負債462.36億円
流動比率173.9%流動資産803.95億円 ÷ 流動負債462.36億円。5期では200.3%(2022/3期)が最も高く、当期が最も低い
ネットキャッシュ240.48億円現金及び預金241.26億円 − 有利子負債(リース負債)0.78億円
ネットキャッシュ比率41.1%ネットキャッシュ240.48億円 ÷ 時価総額585.23億円(参考株価2,601円ベース)
EBITDA60.30億円営業利益53.32億円 + 減価償却費6.98億円。5期では33.36億円(2022/3期)から毎年増加
EBITDA/自己資本11.85%EBITDA60.30億円 ÷ 自己資本509.03億円
EBITDA/利息301倍EBITDA60.30億円 ÷ 支払利息0.20億円。利払いの負担はごく小さい
ROIC7.33%営業利益×0.7 ÷(自己資本509.03億円 + 借入金0円)。借入金が無いため、実質は税引後営業利益 ÷ 自己資本

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 経済状況: FA機器や半導体などは顧客の業界の需要に、鉄道・官公庁向けの機器は鉄道事業者の設備投資や公共投資に左右される。
  • 仕入先への依存: 三菱電機からの仕入が総仕入高の54.2%。取引の継続が難しくなった場合や、同社の製品供給の動向によって業績に影響が出る。5期とも50%台で推移。
  • 業績の第4四半期への偏り: 官公庁・自治体向けや建設業界向けは工事の完了・検収が年度末に集まりやすく、年度内に終わらない案件が多いと業績に響く。
  • 債権管理: 顧客が多種多様で一律の債権保全が難しく、状況によっては貸倒引当金の積み増しが必要になる。
  • 為替の変動: 外貨建ての取引があり、為替予約などで短期的な影響を抑えている。
  • 投資: 取引先などの投資有価証券の減損リスクと、企業買収でシナジー(相乗効果)が出なかった場合のリスク。2期連続で買収を行った実態と対応する記載。
  • 人材の確保: 労働人口の減少のなか、優秀な人材を確保・維持できないと成長力に影響する。
  • 情報システムの不全: ウイルスなどによるシステム障害や機密情報の漏えい。
  • コンプライアンス: 法令違反があった場合の発注機関からの指名停止などの行政処分と、社会的信用の低下。
  • 自然災害: 大地震や風水害による事務所の損壊や物流の停止、仕入先・顧客の被災による調達・販売への影響。
  • 感染症の流行: 経済活動の制限による投資需要の低下や、従業員の就業不能の長期化。2024/3期に「新型コロナウイルス感染症」から一般的な表現へ改められた。
  • 地政学的リスク: 東アジア・東南アジアでの法律・規制の変更、政治・経済情勢の悪化、テロ・戦争などによる調達・販売への影響。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数22,500,000株2023年3月に500万株、2025年3月に110万株の自己株式を消却し、5期前の28,600,000株から21.3%減少
自己株式数204,339株自己保有割合0.91%(2026年3月末)
1株当たり年間配当72円中間36円 + 期末36円
配当利回り2.77%参考株価2,601円ベース。提出日終値2,567円ベースでは2.80%
連結配当性向40.4%配当総額16.04億円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益39.66億円。当期の方針は連結配当性向40%を基準とし、原則として減配しない累進配当
2027/3期からの配当方針DOE 4.5%株主資本配当率(DOE)4.5%を基準指標に採用し、累進配当を継続すると表明
配当の推移26→39→53→70→72円配当性向35% → 40%(2025/3期から) → 累進配当(2026/3期から)と、方針の引き上げが続く
自己株式の取得当期は該当なし2023/3期に36.55億円、2025/3期に17.39億円を取得(キャッシュ・フロー計算書の支出額)
5期の還元合計112.99億円配当金の支払い57.49億円 + 自己株式の取得55.50億円。同じ5期のフリーCF合計は182.16億円
ストック型収益との関係該当なし4事業ともフロー型が中心と推定。参考として配当総額16.04億円は売上高1,456.14億円の1.10%、営業利益53.32億円の30.1%
資本コストとROEROE 8.0%会社は資本コストを7.0%程度と認識し、これを上回るROEを続けることがPBRの向上につながるとしている。ROEは5期で4.3%から8.0%へ上昇
大株主三菱電機 21.17%カナデン取引先持株会13.28%、カナデン従業員持株会3.84%など(2026年3月末)

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は本記事を作成した時点の値(2,601円、2026-09-24時点)を使用しています。時価総額・PER・配当利回り・注目ポイントと指標まとめのネットキャッシュ比率は、この株価を前提とした参考値で、自己株式は控除していません。

5年推移表とグラフ、および前期比較の表のネットキャッシュ比率は、各期の時価総額に基づく参考値です。各期の時価総額は、有価証券報告書の提出日終値と、当時の提出日現在の発行済株式総数から算出しました。

会計期提出日終値発行済株式総数時価総額
2022/3期1,015円28,600,000株290.29億円
2023/3期1,284円23,600,000株303.02億円
2024/3期1,692円23,600,000株399.31億円
2025/3期1,945円22,500,000株437.63億円
2026/3期2,567円22,500,000株577.58億円

当期の注目ポイントと指標まとめのネットキャッシュ比率(41.1%)は記事作成時点の参考株価で算出しており、算出基準が異なるため、5年推移表の当期の値(41.6%)とは一致しません。

財務数値は連結・日本基準です。ネットキャッシュは、現金及び預金に有価証券の7割を加え、有利子負債を差し引いた値です。有価証券は2022/3期の63.00億円(キャッシュ・フロー計算書上で現金同等物に含まれる短期の運用資産)のみで、2023/3期以降はありません。有利子負債はリース債務(リース負債)と、2024/3期の1年内返済予定の長期借入金7.02億円(2025/3期に返済)です。流動のリース債務は貸借対照表で他の科目に含まれているとみられ、個別に把握できないため含めていません。投資有価証券も含めていません。

2025/3期の数値は、5年推移表では2025/3期の有価証券報告書の値を、前期比較では2026/3期の有価証券報告書に記載された前期の値を使っています。髙島電機の買収に関する暫定的な会計処理が確定したため、前期の一部の数値が修正されています。営業利益は45.00億円から44.99億円に、総資産は890.81億円から890.90億円に変わりました。FAシステムの経常利益も22.81億円から22.80億円に変わっています。

事業ごとの利益は、会社の開示どおり経常利益ベースです。事業ごとの経常利益の合計は、全社の調整額があるため連結の経常利益とは一致しません。2026年4月から事業区分が「FAシステム/ビル設備/半導体・デバイス/社会インフラ」に再編されるため、2027/3期以降は本記事の事業別の数値と連続しない見込みです。

次の点は、キャッシュ・フロー計算書の明細や有価証券報告書の記述から推し量った推定を含みます。

  • 売上総利益率の低下を、インフラ事業の割合の上昇と結びつける見方
  • 前受金と前渡金の増加を大口案件によるものとみて、営業CFの一部が来期以降に減る可能性があるとする見方
  • 2023/3期に在庫を厚めに持ったとする見方
  • 営業CFの前年差のうち、退職給付関連の金額
  • ストック型・フロー型の分類

営業CFの内訳表の「その他」は、営業CFの合計から表に挙げた項目を差し引いた値です。

2022/3期から収益認識に関する会計基準を適用しています。表示している金額は端数処理後の値のため、表の数値同士の足し引きと0.01億円程度ずれることがあります。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります。

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第176期、2026年6月22日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。