決算分析

三菱マテリアル株式会社
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/09/19

売上は減、営業利益は1.6倍、借入は増 | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目値
前提2026-09-19 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価5,194円
発行済株式総数131,489,535株
時価総額6,829.6億円

利益は1.6倍、でも現金は借りて増やした ―― 三菱マテリアル2026年3月期を読む

提出日:2026-06-22 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
売上高19,620.8億円18,440.5億円△6.0%
営業利益371.2億円605.0億円+63.0%
親会社株主に帰属する当期純利益340.8億円405.8億円+19.1%

ようか | 驚き

売上が減ったのに、営業利益は +63.0%!?

どういうこと!?


やよい | 説明

しかも、いちばん下の純利益は +19.1% 止まりじゃ。


ようか | キョトン

えっ、途中でどこかに消えたの?


やよい | 自信あり

消えた先もあれば、増えたのに喜べぬものもある。


ようか | キョトン

喜べないもの……?


やよい | 説明

現金じゃ。

どこから来たお金なのか、順に見ていくぞ。


目次

  • 会社概要: 銅と金を取り出す製錬の会社
  • 収益構造: 鉱石からスクラップへ軸足を移す!?
  • 前期からの変化: 営業利益1.6倍でも現金は借入頼み
  • 当期の注目ポイント: 利益の回復とキャッシュのずれ
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 事業の入れ替えと相場の影響
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と借入の重さ
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 銅と金を取り出す製錬の会社

ようか | 笑顔

三菱マテリアルかぁ。

三菱グループで「材料」を作ってる会社だっけー?

やよい姉! 解説よろしく!!

やよい | 自信あり

うむ! わらわが解説してやるぞ。

材料は材料でも、中心は鉱石やスクラップから銅や金を取り出す「製錬」じゃ。

そこに銅の加工品、電子材料、削るための工具が乗っておる会社じゃな。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品・サービス金属事業(銅・金・銀などの製錬と販売、E-Scrapや家電のリサイクル)と高機能製品(伸銅品、電子材料)
その他商品加工事業(超硬工具、タングステン)、再生可能エネルギー(地熱・水力発電)、その他(セメント、エンジニアリングなど)
収益形態銅・金の価格、為替、鉱石の買い付け条件に連動するフロー型が中心
開示区分日本基準の連結。金属/高機能製品/加工/再生可能エネルギー/その他の5区分
外部顧客売上の構成金属50.9%、高機能製品30.8%、加工12.5%、再生可能エネルギー0.3%、その他5.5%

ようか | キョトン

イースクラップ?

スクラップって、ゴミのこと!?

やよい | 説明

捨てられたパソコンやスマホの基板のことじゃ。

中に金や銅が入っておるから、それを溶かして取り出す。

鉱石と同じ製錬所で処理できるのが、この会社の強みじゃな。

ゆり | 無表情

新しく加わった事業もあるのです。

2024年12月に、ドイツのエイチ・シー・スタルクを買収しています。

タングステンという硬い金属の会社で、

有報では世界最大のスクラップ処理能力を持つと説明されているのです。

ようか | 笑顔

ゴミから金を取り出して、タングステンまで!?

もう錬金術師じゃん!

やよい | あきれ顔

錬金術ではなく、れっきとした製錬じゃ。

それに、増やすだけでなく手放したものもあるぞ。

ゆり | 無表情

2022年4月にセメント事業をUBE三菱セメントへ移し、アルミ事業も譲渡したのです。

セメントは今、持分法の会社として残っています。

ようか | キョトン

じぶんぽう?

やよい | 説明

株を一部だけ持っている会社の利益を、持っている割合のぶんだけ自分の利益に足すやり方じゃ。

売上には入らぬが、利益には入ってくる。

ようか | 笑顔

売上に出てこない稼ぎもあるんだ!

やよい | 微笑み

うむ。

この会社はチリの銅の採掘会社などにもこの形で出資しておるから、覚えておくとよいぞ。

ゆり | 無表情

最大の取引先は住友商事なのです。

当期の売上は 2,395.7億円 で、全体の13.0%です。

前期は 4,283.5億円(21.8%)だったのです。

2. 収益構造: 鉱石からスクラップへ軸足を移す!?

ゆり | 無表情

会社はこの先、どこで稼ぐつもりなのでしょう?

やよい | 自信あり

うむ、よい問いじゃ。

会社は新しい中期経営戦略で「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を基本方針に掲げた。

鉱石から銅を取る量は減らして、スクラップから取る量を増やす、とはっきり書いておる。

ゆり | 無表情

有報の計画を並べたのです。

計画内容
銅精鉱の処理量2025年度比で60〜70%へ減らす方向で検討
小名浜製錬銅精鉱の処理を2027年3月末をめどに停止
E-Scrapの処理量2035年度までに倍増が目標
海外展開欧州で二次原料の製錬所の新設を検討、米国でもプロジェクトを推進
タングステン製造拠点のリサイクル原料比率を2030年度までに100%へ

ようか | 驚き

えっ、本業の鉱石を減らしちゃうの!?

もったいなくない!?

やよい | 説明

鉱石を買うときの条件が悪くなっておるのじゃ。

有報では、TC/RCと呼ばれる条件が「低位推移が見込まれる」と書いておる。

ようか | 泣きつく

てぃーしーあーるしー?

全然わからん!

やよい | 説明

製錬所が、鉱石を売る側から受け取る「溶かし賃」のようなものじゃ。

これが下がると、同じ量を溶かしても儲けが薄くなる。

ようか | キョトン

じゃあ、どうするの?

やよい | 説明

溶かし賃に頼らず、自分で集めたスクラップから金属を取るほうへ移る、という姿勢じゃな。

ゆり | 無表情

買ってきた鉱石より、自分で集めたスクラップを溶かす量を増やす、ということですか?

やよい | 自信あり

うむ、そういうことじゃ。

ただし欧米に製錬所を建てるなら、大きな投資が要る。

その投資を本業のキャッシュでまかなえるかは、見ておきたいところじゃな。

ゆり | 真剣

2028年度の財務目標も置かれているのです。

目標水準
ROE8%以上
ROIC7%以上
ネットD/Eレシオ0.5倍以下
ネット有利子負債/EBITDA倍率3.5倍以下

ようか | キョトン

目標がアルファベットだらけ……。

やよい | 微笑み

ざっくり言うと、上の2つは「使ったお金に対してどれだけ稼げたか」の目標じゃ。

下の2つは「稼ぐ力や自分のお金に比べて、借金が重すぎないか」の目標じゃな。

ようか | 笑顔

稼ぎは増やして、借金は軽くしたいってことか!

やよい | 微笑み

うむ、まさにそれじゃ。

3. 前期からの変化: 営業利益1.6倍でも現金は借入頼み

売上・利益はどう動いた?

ようか | 笑顔

去年と比べて売上と利益はどうだったの?

金がザクザク出てきた感じ!?

やよい | あきれ顔

そう単純ではないぞ。

冒頭の表を、もう少し細かく見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
売上高↓19,620.8億円18,440.5億円
売上総利益↑1,666.5億円1,989.7億円
営業利益↑371.2億円605.0億円
営業利益率↑1.89%3.28%
経常利益↑602.4億円975.6億円
親会社株主に帰属する当期純利益↑340.8億円405.8億円

ようか | 驚き

やっぱり、売上は減ってるのに営業利益は1.6倍!

なんで!?

ゆり | 無表情

事業ごとの営業利益を並べたのです。

セグメント前期当期増減
金属事業231億円242億円+10億円
高機能製品56億円210億円+153億円
加工事業88億円164億円+75億円
再生可能エネルギー23億円10億円△13億円
その他の事業54億円42億円△11億円
全社調整など--+19.8億円
連結の営業利益371.2億円605.0億円+233.8億円

やよい | 説明

増えたぶんの大半は、高機能製品と加工事業じゃ。

高機能製品は、銅の加工品がたくさん売れたうえに銅の値段も上がった。

ようか | キョトン

加工事業のほうは?

やよい | 説明

買収したエイチ・シー・スタルクが1年まるごと数字に入ったのと、値上げが大きかったのじゃ。

ようか | キョトン

あれ、本業の金属はほとんど増えてないよ?

やよい | 説明

そこが、さっきの溶かし賃の話じゃ。

銅や金の値段は上がったが、溶かし賃が下がったぶんでほぼ打ち消された。

売上が減ったのも金属事業で、会社は「金の生産量の減少等」を理由に挙げておる。

ゆり | 無表情

売上の減り方を並べたのです。

住友商事向けは、会社概要でも触れた数字ですね。

項目前期当期増減
金属事業の売上14,336億円12,356億円△1,979億円
住友商事向けの売上4,283.5億円2,395.7億円△1,887.8億円

ようか | 驚き

でも純利益は、営業利益ほど増えてないじゃん!?

ゆり | 無表情

営業利益から下の動きをまとめたのです。

段階前期比主な中身
営業利益+233.8億円上の表のとおり
営業外の損益+139.4億円為替差益57.4億円(前期は差損25.7億円)、持分法の利益 +36.6億円、受取配当金 +32.9億円など
特別損益△254.8億円減損損失 134.9億円 → 303.4億円、構造改革費用39.9億円、特別退職金26.1億円、前期の持分変動利益76.5億円が無くなった
法人税等△51.8億円96.1億円 → 147.9億円
非支配株主に帰属する利益など△1.6億円子会社の少数株主のぶん
親会社株主に帰属する当期純利益+65.0億円340.8億円 → 405.8億円

ようか | キョトン

げんそん……?

やよい | 説明

工場などの設備が、この先そこまで稼げぬと分かったときに、

帳簿の価値を切り下げて損にすることじゃ。

お金が出ていくわけではないが、利益はその分へこむ。

ゆり | 無表情

当期の減損 303.4億円 のうち、202.4億円 が小名浜製錬、45.9億円 がルバタ社ののれんです。

ようか | 驚き

小名浜って、さっきの鉱石を止める工場!?

やよい | 自信あり

そのとおりじゃ。

止めると決めたから、設備の価値を切り下げたのじゃな。

のれんのほうは、銅加工のルバタ社を買ったときに上乗せして払った分を減らしたものじゃ。

ゆり | 無表情

利益の伸び率を並べたのです。

項目前期比
経常利益+62.0%
親会社株主に帰属する当期純利益+19.1%

ようか | 驚き

伸び方がぜんぜん違う!

やよい | 説明

その差を生んだのが、この特別な損失じゃ。

手元資金とネットキャッシュは?

ようか | 笑顔

利益が増えたってことは、現金もガッポリ増えたんでしょ!?

やよい | 説明

現金は増えておる。

じゃが、借金とセットで見る必要があるぞ。

項目前期比較前期当期
現金及び預金↑916.0億円1,230.2億円
現金及び預金の対資産率↑3.86%4.10%
有利子負債↑5,931.0億円6,520.7億円
ネットキャッシュ↓△5,014.9億円△5,290.5億円
ネットキャッシュ比率↑△171.9%△82.3%
自己資本比率↓28.5%24.5%

ようか | 驚き

現金は増えたのに、ネットキャッシュのマイナスが大きくなってる!?

やよい | 説明

ネットキャッシュは、現金から借金を引いた数字じゃ。

現金が増えた以上に、借金が増えたということじゃな。

ゆり | 無表情

比率のほうは上がっているので、並べてみました。

項目前期当期
ネットキャッシュ比率△171.9%△82.3%
提出日の株価2,219円4,889円

株価が上がって、時価総額が大きくなったからですか?

やよい | 説明

うむ、そういうことじゃ。

借金の重さが軽くなったわけではないぞ。

ようか | キョトン

じゃあ、どっちを見ればいいの?

やよい | 微笑み

比率は株価でも動くから、借金の量はネットキャッシュの金額で見るのじゃ。

ゆり | 無表情

有利子負債の増減をまとめたのです。

項目前期比
コマーシャル・ペーパー(CP)+700.0億円
社債(1年内償還分を含む)+400.0億円
長期借入金△245.3億円
短期借入金△265.0億円
有利子負債の合計+589.7億円

ようか | キョトン

しーぴー?

やよい | 説明

会社が短い期間だけお金を借りるために出す証書じゃ。

当期は長い借入を返して、そのぶんをCPや社債に置き換えた。

借りる形を変えつつ、合計では増えておるのじゃ。

ゆり | 無表情

現金及び現金同等物は 332.6億円 増えたのです。

中身を分けてみました。

項目金額
フリーCF+46.4億円
財務CF(CP・社債などでの調達から返済・配当を差し引いたもの)+232.4億円
為替による換算差額+53.6億円
端数処理の差+0.2億円
現金及び現金同等物の増加+332.6億円

ようか | 驚き

財務CFのほうが、ずっと大きい!

やよい | 自信あり

つまり現金が増えたのは、稼いだからではなく、主に借りたからじゃ。

ゆり | 真剣

自己資本比率も 28.5% から 24.5% へ下がっているのです。

これも借金が増えたせいですか?

やよい | 説明

そういう理解の仕方もあるが、本当の原因は別のところにある。

総資産が1年で 6,243.9億円 も増えたのじゃ。

ゆり | 無表情

資産と負債で大きく増えた科目を並べたのです。

科目区分前期比
貸付け金地金資産+3,501.0億円
棚卸資産資産+1,265.9億円
預り金地金負債+4,661.4億円

ようか | キョトン

きんじがねを預かったり、貸したり?

やよい | 説明

貸付け金地金は資産に、預り金地金は負債に計上されておる金じゃ。

細かい取引の仕組みは、有報からは追い切れぬ。

ようか | キョトン

じゃあ、なんでそんなに増えたの?

やよい | 説明

わらわの見立てじゃが、金の値段が上がって、両方ふくらんだのじゃろう。

資産と負債が同時に増えるから、自己資本比率は下がって見える。

ようか | 笑顔

借金まみれになったわけじゃないんだ!

やよい | 微笑み

うむ、そこは少し違う話なのじゃ。

フリーCFはどうなった?

ようか | 笑顔

フリーCFってやつは!?

やよい | 説明

マイナスからプラスへ戻っておる。

ただし中身がちぐはぐじゃ。

項目前期比較前期当期
営業CF↓588.9億円396.7億円
投資CF↑△793.8億円△350.3億円
フリーCF↑△204.9億円46.4億円
財務CF↑△132.1億円232.4億円

ようか | 驚き

投資CFのマイナスは半分以下になってる!

でも営業CFは減ってるじゃん!?

ゆり | 無表情

営業CFの増減の中身を分けたのです。

要因前期比区分
棚卸資産(在庫)の増加△705.1億円主因
売上債権(売掛金)の増加△373.0億円主因
金地金の売却収入と購入支出の差+394.9億円相殺要因
減損損失の戻し(お金の出ない損失)+168.5億円相殺要因
仕入債務(買掛金)の増加+150.9億円相殺要因
その他の明細の合計+171.6億円税引前利益の増加 +118.4億円などを含む
営業CFの増減△192.2億円

ようか | キョトン

たなおろし……?

やよい | 説明

倉庫にある原料や製品、つまり在庫のことじゃ。

銅や金の値段が上がると、同じ量を持っていても金額が大きくなる。

在庫と売掛金にお金が吸われて、営業CFが減ったのじゃ。

ゆり | 無表情

会社は前期の有報のリスクで、「金属価格の上昇は運転資本の増加につながる」と書いているのです。

当期も同じことが起きた、ということですか?

ようか | キョトン

うんてんしほん?

やよい | 説明

在庫や売掛金のように、商売を回すために寝かせておくお金のことじゃ。

有報からは完全に読み解きはできぬが、わらわの見立てではそういうことじゃ。

値段が上がる局面では、利益が出ても現金が残りにくい会社のようじゃな。

ゆり | 無表情

投資CFの増減の中身も分けたのです。

要因前期比区分
エイチ・シー・スタルク取得の支払いが無くなった+324.1億円主因(336.5億円 → 12.4億円)
有形固定資産の取得の減少+71.8億円補助要因(560.8億円 → 489.0億円)
子会社株式の取得が無くなった+47.3億円補助要因
貸付けの減少+30.8億円補助要因
投資有価証券の払戻収入の増加+28.6億円補助要因
事業譲渡による収入+24.0億円補助要因
有価証券の売却収入の減少と取得の増加△187.6億円相殺要因
その他の明細の合計+104.5億円
投資CFの増減+443.5億円

やよい | 自信あり

投資CFが軽くなった一番の理由は、前期の買収の支払いが無くなったことじゃ。

設備投資も少し絞っておる。

ようか | キョトン

じゃあ、稼ぐ力が上がったわけじゃないの?

やよい | 説明

うむ。フリーCFが戻ったのは、前期の大きな支払いが消えた形じゃな。

ゆり | 無表情

当期の有形固定資産の取得による支出は 489.0億円 なのです。

減価償却費 474.9億円 とほぼ同じ水準です。

ようか | キョトン

げんかしょうきゃくひ?

やよい | 説明

昔買った設備の代金を、毎年少しずつ費用にしたものじゃ。

それと同じくらいの投資なら、当期は古い設備の入れ替え程度ということじゃ。

ようか | 笑顔

へー、じゃあ無理して使いすぎてはいないんだ!

やよい | 説明

ただ金属や加工の事業は、処理量を増やすには製錬所の新設のような大きな投資が要る。

売上を伸ばそうとすれば、投資も一緒に増える形の事業じゃな。

ゆり | 無表情

配当の支払額は 130.8億円 で、フリーCF 46.4億円 を上回っているのです。

足りない分は、借入でまかなったということですか?

やよい | 説明

うむ、当期だけを見ればそうなるのぅ。

ゆり | 真剣

配当の方針も変わるのです。

これまでは「配当性向30%目途」でしたが、2026〜2028年度は「DOE2.5%目途」です。

ようか | 泣きつく

でぃーおーいー?

また知らないアルファベット出てきた!

やよい | 説明

配当性向は「その年の利益の何%を配当に回すか」じゃ。

DOEは「株主のお金、つまり自己資本の何%を配当に回すか」じゃな。

ようか | キョトン

それって、何が違うの?

やよい | 説明

利益は年によって上下するが、自己資本はそう大きく動かぬ。

だから配当が安定しやすくなるのじゃ。

ゆり | 無表情

当期の配当総額 130.8億円 は、自己資本 7,361.1億円 の 1.78% なのです。

2.5%を当期の自己資本に当てはめると、配当総額は約 184億円、

1株あたりでは約 140円 になるのです。

やよい | 説明

これはあくまで当期の数字に当てはめた試算じゃ。

実際の配当額は会社が決めるから、そのとおりになるとは限らぬぞ。

4. 当期の注目ポイント: 利益の回復とキャッシュのずれ

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました


▶ 売上高は △6.0%(18,440.5億円) と減りましたが、営業利益は +63.0%(605.0億円)、営業利益率は 1.89% → 3.28% へ上がったのです。増益の主因は高機能製品 +153億円 と加工事業 +75億円 なのです。

▶ 経常利益は +62.0%(975.6億円) なのです。ただし減損損失 303.4億円(うち小名浜製錬 202.4億円)が出て、純利益は +19.1%(405.8億円) にとどまったのです。

▶ 現金及び預金は +34.3%(916.0億円 → 1,230.2億円) なのです。ただしCPや社債での調達が中心で、有利子負債が +589.7億円 増えたため、ネットキャッシュは 275.6億円 悪化して △5,290.5億円 なのです。

▶ フリーCFは △204.9億円 → +46.4億円 で黒字に戻ったのです。主因は前期のエイチ・シー・スタルク取得 336.5億円 の支払いが無くなったことなのです。営業CFは在庫の増加などで △32.6%(396.7億円) なのです。

▶ ストック型に近い再生可能エネルギーの売上構成は 0.3% なのです。推定ですが、収益はほぼ相場連動のフロー型と思われるのです。

▶ 1株配当は 100円 で前期と同じ、配当性向は 32.2% なのです。配当の支払額 130.8億円 はフリーCF 46.4億円 を上回っているのです。2026年度からは配当の目安が配当性向30%からDOE2.5%へ変わり、当期の水準(約 1.78%)とは開きがあるのです。

5. 5年推移の財務諸表まとめ: 事業の入れ替えと相場の影響

ようか | 笑顔

前期との違いは分かったけど、もっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力から見ていこう。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高18,11816,25915,40619,62118,441
当期純利益450203298341406
営業利益527501233371605
営業利益率2.9%3.1%1.5%1.9%3.3%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 驚き

売上がぐねぐね動いてる!

2025/3期にドーンと増えたのに、営業利益は2022/3期より低いじゃん!?

やよい | 説明

よく気づいたのぅ。

この会社の売上は、相場と事業の出し入れで大きく動くのじゃ。

ゆり | 無表情

売上と営業利益が大きく動いた年の中身を並べたのです。

年度動き主な中身
2023/3期売上 △1,858.3億円セメント事業の承継とアルミ事業の譲渡で、その他の事業の売上が △2,953億円
2024/3期営業利益 △268.0億円金属事業が 282億円 → 98億円(△183億円)。パラジウム価格の大幅な下落、電気銅・硫酸の市況悪化、インドネシアの製錬所が受託製錬へ移行
2025/3期売上 +4,214.4億円金属事業が +3,956億円。円安と銅・金価格の大幅上昇
2026/3期営業利益 +233.8億円高機能製品 +153億円、加工事業 +75億円

ようか | キョトン

2025/3期は銅も金も高くなったのに、なんで利益はそこまで増えないの?

やよい | 説明

わらわの見立てじゃが、ここでも溶かし賃じゃ。

金属の値段が上がれば、売上は大きくなる。

ようか | 笑顔

じゃあ儲かるじゃん!

やよい | 説明

じゃが製錬の儲けは、溶かし賃で決まる部分が大きく、そこが悪化しておった。

売上ほど利益が伸びないのは、そのせいじゃろう。

ゆり | 無表情

純利益にも、毎年のように特別な損益が入っているのです。

年度純利益主な特別な損益
2022/3期450.1億円投資有価証券売却益346.7億円、事業再編損失251.2億円
2023/3期203.3億円持分法投資損失219.2億円、事業再編損失311.0億円。売却益などと税金費用の減少で一部相殺
2025/3期340.8億円持分変動利益76.5億円、減損損失134.9億円(うち若松製作所88.1億円)
2026/3期405.8億円減損損失303.4億円、構造改革費用39.9億円、特別退職金26.1億円

ようか | 驚き

毎年なにかしら起きてる!?

やよい | 自信あり

事業を入れ替えておる最中の会社じゃからな。

売る、買う、止めると決めるたびに、特別な利益や損失が出るのじゃ。

ようか | 笑顔

じゃあ次は、お金の流れ!?

やよい | 自信あり

うむ、キャッシュの流れを追っていくぞ。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金1,5921,4211,3499161,230
現金及び預金の対資産率7.5%7.5%6.2%3.9%4.1%
ネットキャッシュ△4,495△3,914△4,682△5,015△5,291
ネットキャッシュ比率△173.4%△115.3%△119.1%△171.9%△82.3%
フリーCF3712△516△20546

ゆり | 無表情

フリーCFは5期の累計で △626.5億円 なのです。

設備投資をしすぎた、ということですか?

やよい | 説明

そういう理解の仕方もあるが、本質的には営業CFが小さいのじゃ。

ゆり | 無表情

5期の数字を並べたのです。

項目5期合計・平均
営業CF(5期合計)2,019.6億円
投資CF(5期合計)△2,646.1億円
EBITDA(5期平均)942.6億円
営業CF(5期平均)403.9億円

ようか | キョトン

いーびっと……?

やよい | 説明

営業利益に、さっきの減価償却費を足したものじゃ。

その年にお金が出ていかぬ費用だから、足し戻すと本業が現金を生む力の目安になるのじゃ。

ようか | キョトン

ふーん、で、この会社はどうなの?

ゆり | 無表情

営業CFの5期平均は、EBITDAの5期平均の 約43% なのです。

やよい | 説明

稼ぐ力の半分も、営業CFとして残っておらぬということじゃ。

わらわの見立てじゃが、金属の値段が上がる年は在庫と売掛金にお金が吸われやすい会社のようじゃ。

ゆり | 無表情

投資のほうでは、2024/3期に有形固定資産の取得 788.0億円 と貸付け 182.5億円 が重なったのです。

2025/3期はエイチ・シー・スタルクの取得 336.5億円 があったのです。

ようか | 驚き

だからその2年、フリーCFが大きくマイナスなんだ!

ゆり | 無表情

同じ5期で、配当の支払額(親会社株主分)は合計 567.9億円 なのです。

やよい | 自信あり

フリーCFがマイナスの中で配当を払ってきたから、そのぶんは借入と手元の現金に頼った計算になる。

ネットキャッシュが △4,495億円 から △5,291億円 へ広がった、主な理由のひとつじゃ。

ゆり | 無表情

フリーCFの累計と配当の支払額を足すと △1,194.4億円 ですが、

ネットキャッシュの悪化は 795.6億円 なのです。

ようか | キョトン

あれ、数字が合わない?

やよい | 説明

ほかにセメント事業の切り出しなどの動きもあるからのぅ。

全部をこれで説明できるわけではないぞ。

ゆり | 微笑み

さらに詳しく知りたい人向けに、財務諸表をまとめました。

必要な方は以下を開いてください。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金1,5921,4211,3499161,230
流動資産12,38911,16012,83014,64320,650
有形固定資産6,2924,2624,7214,3844,345
総資産21,25018,91821,67623,75329,997
流動負債9,2678,1849,94112,97318,720
固定負債5,4264,4464,8793,8473,748
純資産6,5586,2896,8566,9337,530
自己資本比率27.5%31.4%30.2%28.5%24.5%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高18,11816,25915,40619,62118,441
売上原価16,03014,49213,92517,95416,451
売上総利益2,0881,7681,4811,6661,990
営業利益527501233371605
親会社帰属純利益450203298341406

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業 CF69452514589397
投資 CF△32△440△1,030△794△350
財務 CF△5135329△132232
フリー CF3712△516△20546
現金増減81105△99△314333

(連結・日本基準、単位は億円。現金増減は現金及び現金同等物の増減額で、為替換算差額を含み、連結範囲の変更などによる増減は含まない)

6. 指標まとめ: 稼ぐ力と借入の重さ

やよい | 自信あり

ここまでを、ざっくりまとめよう。

ゆり | 無表情

5期の起点と当期を並べたのです。

項目5年前当期
売上高18,117.6億円18,440.5億円
営業利益527.1億円605.0億円
営業利益率2.91%3.28%
ネットキャッシュ△4,494.9億円△5,290.5億円

ようか | 驚き

営業利益は増えてるけど、ネットキャッシュのマイナスも大きくなってる!?

やよい | 微笑み

うむ、どちらも本当のことじゃ。

ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

営業利益は5年で一番になったし、ゴミから金属を取る新しい稼ぎ方にも本気で動いてる!

でも現金は借りて増やした形で、借金のほうも増えてる。

配当も安定させる形に変わるし、スクラップの製錬がどこまで大きくなるか見ていきたいな!

ゆり | 微笑み

さらに分析したい人向けのデータは、下を開いて見てください。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPERやEBITDAやROICあたりを、財務健全性は流動比率やEBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率やネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER16.83倍時価総額6,829.57億円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益405.81億円。EPS310.56円ベースでは16.72倍
現金比率4.10%現金及び預金1,230.2億円 ÷ 総資産29,997.4億円。5期では7.49%から低下
流動比率110.3%流動資産20,649.9億円 ÷ 流動負債18,719.9億円。5期では133.7%から低下
ネットキャッシュ△5,290.5億円現金及び預金1,230.2億円 − 有利子負債6,520.7億円。マイナスは借入超過
ネットキャッシュ比率△77.5%ネットキャッシュ ÷ 時価総額(参考株価ベース)
EBITDA1,080.0億円営業利益605.0億円 + 減価償却費474.9億円
EBITDA/自己資本14.67%EBITDA ÷ 自己資本7,361.1億円
EBITDA/利息11.38倍EBITDA ÷ 支払利息94.9億円。支払利息は5期で55.0億円から増加
ROIC3.59%営業利益×0.7 ÷(自己資本 + 短期・長期借入金)。社債・CPを含まない定義のため、会社目標のROICとは算出方法が異なる可能性がある

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 資源循環の推進(発生可能性:高、影響度:大): 資源を使い捨てる経済が行き詰まると、原料調達や廃棄物処理が難しくなる。E-Scrapなどの二次原料の製錬拡大と、タングステンのリサイクル率向上で対応する。
  • 高付加価値製品・ソリューション提供(高・大): 一時的なコスト削減ではなく、競争力のある事業へ資源を集中する必要がある。
  • SCQ課題への対応強化(高・大): 安全・法令遵守・品質の不備は、制裁や信用低下につながる。
  • 人的資本の強化(高・中): 労働人口の減少で、人材の確保・育成が難しくなる。
  • 地球環境問題対応の強化(高・中): 炭素価格の制度が導入・強化されると、温室効果ガスの排出コストが増える。
  • 開発・生産技術力の強化(高・中): 技術の優位を失うと、市場シェアが縮む。
  • デジタル戦略の強化(高・中): サイバー攻撃や情報漏えいで信用を失うおそれ。
  • 2025/3期は11項目で「地政学・地経学リスク」「財務リスク」を独立項目にしていたが、当期は7項目に絞られた。関税政策、中東情勢、TC/RCの低下、自動車・半導体関連の需要動向は、経営方針の中で厳しい事業環境として挙げられている。
  • 減損は実際に起きている。若松製作所(2025/3期 88.1億円)、小名浜製錬(2026/3期 202.4億円)、ルバタ社のれん(同 45.9億円)と、2期続けて大きな減損が出た。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数131,489,535株5期を通じて変化なし(2016年10月の10株→1株の併合以降)
自己株式数652,885株自己保有割合0.497%。役員報酬BIP信託口の159,209株を合わせると0.618%
1株当たり年間配当100円中間50円+期末50円。配当総額130.8億円
配当利回り1.93%参考株価5,194円ベース
連結配当性向32.2%配当総額130.8億円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益405.8億円。EPS310.56円ベースでも32.2%
配当方針DOE2.5%目途2023〜2025年度は「配当性向30%目途」。2026〜2028年度は「DOE2.5%目途、安定的な配当の継続を重視」
当期のDOE水準1.78%配当総額130.8億円 ÷ 自己資本7,361.1億円。2.5%を当期の自己資本に当てはめた試算では配当総額約184億円・1株約140円(実際の配当額は会社が決定)
配当の推移90→50→94→100→100円2022/3期は特別配当30円を含む。2023/3期は純利益の減少で50円に下げた
自己株式取得0.2億円単元未満株式の買取のみ。取締役会決議による取得は5期とも無し
配当支払と営業CF130.8億円当期の配当支払額は営業CF396.7億円の33.0%、フリーCF46.4億円の2.8倍。別に非支配株主への配当65.3億円
ストック型収益との関係該当なしストック型に近い再生可能エネルギーの外部売上は62.0億円(0.3%)。フロー型の外部売上18,378.4億円に対する配当総額の割合は0.71%
大株主上位5名で31.58%日本マスタートラスト信託銀行(信託口)15.61%、日本カストディ銀行(信託口)5.78%など。大量保有報告書ではシルチェスター・インターナショナル・インベスターズが7.83%を保有と報告
所有者別外国法人等38.20%金融機関27.29%、個人その他24.78%、その他の法人5.62%、金融商品取引業者4.07%

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は本記事を作成した時点の値(5,194円、2026-09-19時点)を使用しています。時価総額・PER・配当利回り・指標まとめのネットキャッシュ比率は、この参考株価を前提とした参考値で、自己株式は控除していません。

5年推移表とグラフのネットキャッシュ比率は、各期の有価証券報告書の提出日終値と、当時の提出日現在の発行済株式総数から算出した各期の時価総額に基づく参考値です。各期の提出日終値は、2022/3期から順に1,971円/2,583円/2,990.5円/2,219円/4,889円です。前期からの変化の表のネットキャッシュ比率も同じ基準です。記事作成時点の参考株価で算出した指標まとめのネットキャッシュ比率(△77.5%)とは算出基準が異なるため、5年推移表の当期の値(△82.3%)とは一致しません。

財務数値は連結・日本基準です。有利子負債は短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債(1年内償還予定を含む)、長期借入金の合計で、会社が開示する有利子負債残高と一致します。リース債務は抽出した財務データに独立した行が無いため含めていません。ネットキャッシュは現金及び預金から有利子負債を差し引いた値で、有価証券は抽出した財務データに該当科目の行が無いため0円として扱っています。当期末の現金及び預金には、グループ内の資金をまとめる仕組み(ノーショナルプーリング)による預入額534億円が含まれ、短期借入金にも借入額519億円が両建てで含まれます。

現金及び現金同等物(当期末1,217.5億円)は、定期預金などの差があるため、貸借対照表の現金及び預金(1,230.2億円)とは一致しません。キャッシュ・フローの増減の内訳は百万円単位の端数処理により、合計と0.1〜0.2億円程度ずれる場合があります。

セグメント別の売上高・営業利益は会社開示の億円単位の値で、監査の対象外である旨が注記されています。増減は会社開示の値から算出しているため、表の前期・当期の差と1億円程度ずれる行があります。全社調整などの行は、連結の営業利益の増減とセグメント合計の差額です。セグメントは2023/3期・2024/3期の提出分で再編されており、2022/3期とそれ以降は単純に比較できません。

次の説明は、会社の開示ではなく、財務データやCFの明細から推し量った推定を含みます。在庫・売掛金の増加が金属価格の上昇によるという説明、金地金の預り・貸付けが金価格の上昇でふくらんだという説明、金属事業の利益が伸びにくい理由、ストック型・フロー型の判定です。DOE2.5%を当期の自己資本に当てはめた配当額は試算で、実際の配当額は会社が決定します。

2025/3期の数値は、各期の提出時点の値を使っています。2026/3期の有価証券報告書では企業結合の暫定的な会計処理の確定による前期の修正がありますが、主要な経営指標は両者で一致しています。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります。

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第101期、2026年6月22日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。